HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 38464 Content-Type: text/html ETag: "15cb7ed-22e1-a6dc8c40" Cache-Control: max-age=5 Expires: Sun, 15 Jul 2012 22:21:55 GMT Date: Sun, 15 Jul 2012 22:21:50 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年7月16日(月)付

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 赤ちゃんパンダの悲報に、本紙歌壇から写したばかりの一首が浮かんだ。〈幸(さいわ)いと辛(つら)いとう字がこんなにも似ていて茱萸(ぐみ)に茱萸の花咲く〉美原凍子(とうこ)。福島に暮らす作者は、幸と辛の近さを肌で知る。横棒が抜けて暗転、諸行無常である▼とはいえ気は持ちようで、パンダ土産を扱う店長さんの言葉に救われた。「残念の二乗。でも、機会はこれからもある。まずは(母親の)シンシンにお疲れさんと言いたいね」。動物園はこの経験を生かすだろうし、次は双子かもしれない。辛い話も、見方を変えれば幸せの種になる▼思い出したくない過去の一つや二つ、誰にもあろう。心優しき人ほど、悲しいこと悔しいことを引きずるものだが、辛い記憶ばかりため込んでは人生もったいない▼朝日新書の新刊『すりへらない心をつくるシンプルな習慣』(心屋仁之助〈こころや・じんのすけ〉著)に、「嫌な出来事のあとに『おかげで』をつけてみる」という助言があった。あの失敗のおかげで今がある、という風に▼著者いわく「チャンスはピンチの顔をしてやってくる」。その時は辛くても、何かの肥やしになったと後で思える体験は多い。すべては癒やせないにせよ、心の古傷に前向きな意味を与え、一歩を踏み出したい▼しんどい時代、生き抜く糧(かて)を求める人に、あまたの自己啓発本が手を差し伸べる。当方、世渡りに気の利いた助言はできないけれど、同じ読み物として期するところはある。それぞれの「辛」に、細くても横棒を添えられる小文でありたいと。

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