HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51301 Content-Type: text/html ETag: "a3c2c-1755-4c4ccacdea1f5" Expires: Sat, 14 Jul 2012 22:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 14 Jul 2012 22:21:10 GMT Connection: close 電力改革 自由化の副作用に目配りを : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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電力改革 自由化の副作用に目配りを(7月15日付・読売社説)

 電力制度の改革は、効果と副作用を見極めながら、慎重に進めることが何より重要だ。

 経済産業省の有識者会議が、電力システム改革の基本方針をまとめた。年内をメドに最終案を決め、具体的な改革を目指すという。

 基本方針は、電力小売りの全面自由化や、電力会社の発電事業と送電事業を分ける「発送電分離」などを盛り込んだ。

 電力会社の「地域独占」に対する不満は強い。電力市場に競争を導入し、利用者の選択肢を広げる狙いは妥当といえる。

 ただし、全国でほとんどの原子力発電所が再稼働できず、電力不足が続いている。安定供給を妨げる性急な改革は避けるべきだ。

 電力の小売りは現在、中小の工場など50キロ・ワット以上の契約まで自由化されている。サービスのいい電気事業者を選べる仕組みだが、新規業者の販売シェアはわずか3%にとどまる。事実上、大手電力会社の独占状態といえる。

 大口契約さえ競争がほとんどない状態で、小口の家庭に自由化を拡大しても、料金などサービス競争が活発化するだろうか。過大な期待はできまい。

 電力会社の独占が維持されたまま、料金の認可制が廃止されかねないことも問題だ。

 電力会社が圧倒的に強く、しかも電力不足の状況では、競争促進による値下げ期待とは裏腹に、むしろ値上げにつながる可能性が高い。認可を通じて、政府が電力会社に値上げの圧縮を迫ることもできなくなるだろう。

 「規制なき独占」の弊害は大きい。大口契約で新規参入業者が増え、十分な競争が確保されることが先決だろう。それまで家庭向け料金の認可制は維持すべきだ。

 発送電を分離して、電力会社以外の事業者にも送電網を開放すれば、新規参入の増加や競争の促進が期待できる。

 しかし、分離すれば電力需要の変動に応じたきめ細かな電力供給は一段と難しくなる。欧米や韓国で発送電分離が一因とされる大停電も起きた。電力供給が不安定な時期に実施すべきではない。

 分離方法について、有識者の意見も分かれた。基本方針は電力会社の送電部門を分社化する「法的分離」と、送電網の運用を新たな独立機関に委ねる「機能分離」の2案を併記した。どちらを採用するか、今後詰めるという。

 分離方法は電力制度の根幹にかかわる重要な問題だ。有識者会議で論議を尽くしてもらいたい。

2012年7月15日01時27分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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