HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51305 Content-Type: text/html ETag: "b1dc0-176d-4c4b868741e63" Expires: Fri, 13 Jul 2012 20:21:14 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 13 Jul 2012 20:21:14 GMT Connection: close 九州豪雨災害 土砂警戒区域の指定を急げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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九州豪雨災害 土砂警戒区域の指定を急げ(7月14日付・読売社説)

 山あいの集落が丸ごと濁流にのまれる土砂災害が今年も起こった。

 九州地方を襲った集中豪雨は、熊本、大分両県で死者・行方不明者が30人前後に上っている。活発化した梅雨前線は依然、停滞している。なお厳重な警戒が必要だ。

 記録的な豪雨である。

 最も多くの死者が出た熊本県阿蘇市では12日、1時間当たりの最大雨量が108ミリに達した。24時間の雨量も507・5ミリと観測史上最多を記録した。

 阿蘇市は約1万の全世帯に避難指示を出したが、一帯はすでに、豪雨に見舞われていた。避難所に向かわず、家ごと土砂に埋もれた住民も多かった。あまりに激しい雨のため、外に出るのをためらった可能性がある。

 避難指示を出すタイミングは適切だったのか、検証が必要だ。

 気象庁は「経験したことのないような大雨」などという表現を初めて使い、注意を喚起した。切迫感を伝えるのに効果があったと言えるだろう。

 だが、この警戒情報がテレビなどで伝えられたのは、阿蘇市で土砂崩れが起きた後だった。今後に向けた反省点である。

 山地が国土の大部分を占める日本では、毎年のように土砂災害が発生している。死者は昨年までの10年間で約280人にも上る。早急な対策が求められる。

 住民を守る有効な手だてとされるのが、ハザードマップである。土砂災害の警戒区域を危険度に応じて色分けした地図だ。政府は2005年、全世帯に配布するよう市町村に義務づけた。

 住民にあらかじめ注意を促すことで、市町村が避難指示・勧告を出しやすくなる利点がある。

 だが、問題なのは、警戒区域の指定を受け持つ都道府県の作業が進んでいないことだ。11年までに指定を終えたのは青森県だけなのが現状である。指定作業を急がねばならない。

 そもそも今回、阿蘇市で被害の大きかった一部の地区は、警戒区域に指定されていなかった。

 地盤が大雨で緩むような危険箇所の見落としはないのか、全国的な総点検を実施すべきだろう。

 住民が避難時に利用する橋や道路などの耐久性のチェックも不可欠だ。今回も増水した川にかかる橋の流失が相次いだ。

 自治体の財政事情から、老朽化した多くの橋が全国各地で補修されないままになっているという。限られた財源を、必要な公共事業に振り向けることが大切だ。

2012年7月14日01時15分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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