HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 13 Jul 2012 03:21:52 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:世界防災会議 「回復力」を備えよう:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

世界防災会議 「回復力」を備えよう

 「防災の主流化」が世界的なキーワードになりそうだ。教育、環境、開発など各分野に防災の視点を取り入れていこうという考え方だ。ハードとソフトの組み合わせを重視し、具体策を練りたい。

 被災地の仙台などで先週、途上国を中心に約八十の国と機関が参加して世界防災閣僚会議が開かれた。議長総括では「強靭(きょうじん)な社会(レジリエント・ソサエティーズ)」の構築を呼びかけた。レジリエントとは「弾力のある」「回復力の早い」という意味を持つ。

 その具体化に向けて指摘されたのが「防災の主流化」だ。防災政策の優先順位を上げ十分な財源を割り当てる。防災コストは災害後の復旧・復興で必要となる経費より安く済む−との趣旨だ。

 開発優先の途上国は防災の視点が後回しになっている。野田佳彦首相が表明した、二〇一三年から三年間で三十億ドルを支援する意義は大きい。特に都市化が著しいアジアで世界の災害の四割が発生し、被災者数は九割に上る。日本企業の進出が多い地域でもあり、支援は責務だ。

 東日本大震災で、自然災害は海岸堤防などのハードでは防ぎ得ないことを思い知らされた。国は防災基本計画を修正し、千年に一度の最大級の津波には「逃げる」ことを最優先した。東北の被災地では高台への集団移転、沿岸各地では避難ビル整備が進んでいる。

 防災教育が犠牲者を最小限に食い止めたことも実証された。会議では被災地の子どもたちが避難経路の整備や、友達と再会できる仕組みの必要性を提言した。子どもが体験した「備える」と「絆」の大切さが世界に発信された。

 日本には先人の知恵もある。愛知県豊川水系の霞堤は洪水時に中流部の田畑に水を越流させ、下流部の住宅地を守っている。江戸時代の治水をいまに受け継ぐ。人工物ではね返すだけでなく、しなやかさも大事な視点だ。自然を柔軟に受け流す発想も日本にはある。大震災の教訓とともに、そうした事例も世界で共有したい。国際社会が日本に期待していることだ。

 玄葉光一郎外相が一五年の第三回国連防災世界会議の日本招致を表明した。第二回会議で採択された「兵庫行動枠組み」(〇五〜一五年)の後継計画を決めるものだ。各国の状況に合った防災の主流化を日本が主導していきたい。防災の国際貢献は東日本大震災で支援を受けた恩返しでもある。

 

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