HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 38653 Content-Type: text/html ETag: "166ad51-22bf-2d63b640" Cache-Control: max-age=5 Expires: Thu, 12 Jul 2012 23:21:15 GMT Date: Thu, 12 Jul 2012 23:21:10 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年7月13日(金)付

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 懐かしの昭和30年代は、活気とともに、どこか殺気立っていた時代かもしれない。作家の幸田文が上野駅の混雑を書いている。「喧嘩(けんか)をしにでも出掛けるようなトゲトゲした旅行人がいっぱい」だった▼切符を買っていると背後から「グズっか(ぐずぐす)しやがって」とののしられ、小突かれた。振り向くとイライラの見本みたいな「男の古いの」がにらんでいたそうだ。以来半世紀がたつが、どうも中高年の男性はキレたり怒鳴ったりしやすいようだ▼その手の話が時々声欄に載る。記憶に残るのは一昨年。図書館で体験学習の小学生が貸し出し係でいるのに、司書に「急いでるんだ。早くしろ」と荒く言い、周囲の空気を凍らせた初老がいたそうだ▼別の投書には、JRの電車内でやはり初老の男に怒鳴られ、震えている母親を見たとあった。ベビーカーの幼子(おさなご)の足がズボンに当たっていたらしい。言った側は忘れても言われた人の傷は深い▼感情を止める堤防が低くなって、たちまち洪水を起こしてしまう。喜怒哀楽の「怒」は大切な感情だが「キレる」のとは違う。刹那(せつな)的で貧相な怒気がここ、そこに潜む社会はぎすぎすと寒い▼週刊朝日の名編集長だった扇谷正造は「一怒一老一笑一少」の言を好んだ。一度怒れば一つ老い、一度笑えば一つ若返る。還暦を過ぎて大声で怒る自身への戒めだったそうだ。きのうの通勤途中、駅員さんを怒鳴るわが同年配を見てこのコラムを書いた。他山の石に事欠かないのが、やりきれない。

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