HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 12 Jul 2012 01:21:09 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:胆管がん 職場の安全点検を急げ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

胆管がん 職場の安全点検を急げ

 印刷会社で働く人たちに胆管がんの発症が相次いでいる。亡くなった人もいる。疑われている原因は印刷機器の洗浄に使われる化学物質である。従業員にとって安全な職場環境は働く大前提だ。

 発端は今年三月だ。大阪市の印刷会社で働いていた元従業員らが、胆管がんを発症したと労災認定を求めた。今働く従業員も含め計十二人が発症、うち六人が亡くなった。その後宮城県の印刷会社の従業員にもがん患者が出た。

 この事態を受け厚生労働省が全国の五百六十一事業所を調査したところ新たに東京都、石川県、静岡県の三事業所でも発症者がいた。これまで判明した患者は十七人、うち八人が亡くなった。

 大阪市の会社では印刷機器の洗浄を頻繁に行っている。インキを落とすために洗浄剤を大量に使う。含まれる化学物質は厳しい規制の対象ではないが、動物実験で発がん性が指摘されており、これが原因の可能性がある。

 洗浄剤は気化しやすく換気が重要だが、大阪市と宮城県の職場はそれが不十分だったようだ。

 小宮山洋子厚労相は調査結果の被害について「あまり多くの広がりがなかったことはよかった」と発言したが不用意ではないか。まだ実態の全容が分かっていない。

 むしろ調査対象の事業所の約八割が働く人の健康を守るための規則を守っていなかったことは問題だ。発がん性や毒性のある化学物質を使う職場だけに、使用にはさまざまな規制がある。

 排気設備を整えたり、健康被害を予防する責任者を置いたり、環境測定や特別な健康診断の実施も定められている。これらの多くが守られていなかった。

 印刷業界は従業員の健康管理を軽くみていなかったか。職場環境に問題がないか従業員の声をしっかり聴くべきだ。業界は厚労省と協力し職場の安全確保のために点検を急いでほしい。

 厚労省は原因究明の疫学調査に入る。規制されず使われている化学物質は約六万あるといわれ、調査には時間がかかる。

 その間も被害拡大を防ぐために実態把握に努めるべきだ。印刷現場では不安が広がっている。厚労省は電話相談窓口を設けたが、働く人の不安解消に努め、被害情報を細大漏らさず集めてほしい。

 印刷業以外の職種でも同様の被害がないか、幅広い調査を実施すべきだ。発症者はまだいると考え対応することが重要である。

 

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