アフガニスタン復興の国際会議が東京で開かれ、戦乱と貧困を終わらせてテロの温床をなくすと確認した。治安対策、インフラ整備の資金援助とともに、行政や経済を担う人材の育成が急務だ。
日本政府が主催し約八十の国と機関が参加した会議では、二〇一五年までに百六十億ドル(一兆二千億円余)を支援すると合意した。
米軍を主体とする国際治安支援部隊(ISAF)は一四年末で撤退するが、アフガン政府が治安と開発の両面で自立できるよう、国際社会が引き続き支えていく。
日本はアフガンに対し昨年末までに、三十三億ドルを支援した。警察官の給与をはじめ、道路や空港、農業基盤の整備、学校建設や補修に資金が投入されている。治安パトロールなど軍事面は欧米諸国が担当するが、日本は非政府組織(NGO)も加わって多様な民生支援を提供し、現地での評価も高いという。さらに残額の繰り越しも含めて今年から五年間で最大三十億ドル、周辺国にも十億ドルを拠出する。
一方で、カルザイ政権の統治能力不足と汚職体質は根が深い。戦乱が続いて仕事ができる公務員が育っておらず、地方では軍閥が支配し利害調整にわいろが横行するあしき風土があるからだ。
カルザイ大統領は会見で「法の支配や腐敗対策を急ぎ、統治機構を強化する」と述べた。関係国が二年に一度、閣僚会合を開いて、支援の使い道を検証する仕組みもできた。日本は政府開発援助(ODA)がどう使われているか、援助の窓口となる国際機関に対し十分な調査を求めていきたい。
旧政権タリバンは依然として農村部に拠点を置きテロを続ける。過去三年間で元兵士三千人以上が社会復帰したというが、耕作地や職業が保障されない限り、再び舞い戻る恐れは消えない。この分野で日本の資金を有効に使えれば、和平構築に貢献できよう。
アフガン政府軍と米軍は武装勢力掃討を続けるが、和平交渉の再開にも粘り強く取り組むべきだ。国内にタリバン支持勢力を抱えるパキスタンも交渉に引き入れる必要がある。
アフガン国内にはケシを栽培する農民が多く、麻薬は海外に流出する。隣国のパキスタンとイランには現在も計二百七十万人のアフガン難民がおり、両国の経済を圧迫している。南西アジア全体を安定化させるためにも、国際社会の息の長い関与が求められる。
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