HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 11 Jul 2012 02:22:08 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 通算八十一期という前人未到のタイトル獲得を果たした羽生善…:社説・コラム(TOKYO Web)
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 通算八十一期という前人未到のタイトル獲得を果たした羽生善治さんが「あれは革命です」と言い切る。「研究の進んだ今の将棋界では工夫すると言っても、ほとんどが過去の戦術の微修正。しかし、それが根本から変えられたのです」▼将棋には独自の格言がある。常識と言ってもいい。「居玉(いぎょく)は避けよ」は、玉は動かして囲って守れ。「玉飛接近すべからず」は玉と飛車を同時に狙われないため、離して戦えとの教え。このイロハのイのような二つの常識を覆したのが、藤井猛九段だ▼「藤井システム」と呼ばれる戦法は、玉を元の位置のままにして、飛車をその近くに構え、速攻を仕掛ける。常識破りの攻撃的な戦い方だ▼革命児が、その武器を懐に王に挑む王位戦七番勝負が始まった。対局室となった北アルプスを望む信州・松本のホテルの部屋は痛いほど静まり返り、駒音だけが響く。一局戦うと体重が二、三キロも落ちる静かな激闘だ▼二人はともに四十一歳。藤井さんは、タイトルを総なめにしてきた羽生さんの背中を追うように走ってきた。羽生さんは自分の将棋人生をマラソンに重ねる。「集団で走った方がペースも保てるし、お互いに風を避けたりできる。同世代がいたからここまで走ってこられたしこれからも走れるんです」▼名勝負は一人では作れない。二人が走る息遣いが棋譜から聞こえるはずだ。

 

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