HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51352 Content-Type: text/html ETag: "2bae1-178b-4c43faaaa3c1e" Expires: Sun, 08 Jul 2012 22:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 08 Jul 2012 22:21:10 GMT Connection: close ちいさな企業 日本再生に期待される潜在力 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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ちいさな企業 日本再生に期待される潜在力(7月8日付・読売社説)

 日本企業の9割を占める中小企業は、技術や人材などの潜在力を持つ。日本経済に弾みをつける役割を期待したい。

 経済産業省の「“ちいさな企業”未来会議」は、中小企業の活性化策に関する提言をまとめた。中小企業の経営者や女性起業家、青年層などの現場の声を集約したのが特徴である。

 提言のポイントは、比較的規模が大きい中小企業を主な支援対象としてきた政府に対し、小規模企業にも十分目配りするよう、施策の修正を求めたことだ。

 中小企業は、過去10年で約65万社減り、雇用者数は約300万人も減少した。小規模な企業の廃業や経営不振が目立つ。

 少子高齢化に伴う国内市場の縮小や超円高に加え、取引先である大企業の海外移転や業績悪化に振り回されがちだ。経営環境は一段と厳しくなっている。

 中小企業の低迷により、地域経済が疲弊するという悪循環に陥っている状況も看過できない。

 未来会議が危機感を強め、「小さな企業が日本を変える」と指摘したのは妥当だ。中小企業が活性化してこそ、地域の雇用が維持され、空洞化を防ぐ方策になる。

 トヨタ自動車やパナソニックなどの大企業も、小さな町工場からスタートした。成長が見込まれる「未来のトヨタ」を発掘し、後押しすることが問われている。

 実践的な経営ノウハウが不足しているため、飛躍のチャンスを逃している小規模企業も多い。

 提言は、起業から安定・成長期、事業承継など、企業の段階に応じて、国や自治体と連携しながら金融機関、税理士などがワンストップで経営支援する「知識サポート体制」の強化を打ち出した。具体化を急ぐべきだろう。

 オンリーワンの技術を磨き、製品力を強化する支援策の充実も重要だ。提言が示した「海外展開集積地域構想」は検討に値する。中小企業がアジアなどで販路を拡大できるように知恵を絞りたい。

 ものづくりだけでなく、女性や若者が働きやすい介護、医療などのサービス分野の企業育成が課題と言える。女性パワーをもっと活用する環境整備が欠かせない。

 政府は近くまとめる日本再生戦略の柱に中小企業政策を位置づけるべきだ。ただし、大前提は、施策を精査し、ばらまき型の追加支援としないことである。

 中小企業が政府などの支援に頼るだけでは、展望は開けない。創意工夫で自ら活路を開く積極的な姿勢が求められよう。

2012年7月8日01時13分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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