HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 37702 Content-Type: text/html ETag: "140327d-1ff4-9e8f8700" Cache-Control: max-age=1 Expires: Sun, 08 Jul 2012 20:21:11 GMT Date: Sun, 08 Jul 2012 20:21:10 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年7月8日(日)付

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 文明開化の明治の初め、「ランプ亡国論」なる珍説が世に流布した。ランプの輸入は貿易赤字を膨らませる。さらには在来の産業を滅ぼすと説く舶来品排斥論だった。むろん開化の奔流は止められず、西洋の利器はもてはやされ、日本の夜を明るくした▼しかし、ランプの天下は長く続かない。電灯に取って代わられる様子が、童話作家新美南吉の名作「おじいさんのランプ」に描かれている。「世の中は、電気の時世になった」と嘆くランプ売りが、一斉にともした売り物に石を投げ、割っていく場面をご記憶の方もおいでだろう▼以来なじみの深い白熱電球だが、ここにきて「肩たたき」が急だ。なにせ電気を食う。政府は製造と販売を控えるよう要請した。2度目の節電の夏に、省エネでタフなLEDへの移行が進みつつある▼値段の高さにはひるむが、電力消費は2割以下、寿命が40倍と聞けば、納得感はある。ボーナス後の節電特需か、きのう寄った売り場は人でいっぱいだった。脇の白熱電球はどこか肩身が狭く見える▼「明かり奉行(ぶぎょう)」という新語があるそうだ。会社や家で、不要な照明を消して回る人を言うらしい。明かりに限らず、頼もしい「節電奉行」のいるお宅もあろう。無理せず賢く無駄をなくしたいものだ▼〈家々や菜の花いろの燈(ひ)をともし〉。木下夕爾(ゆうじ)の名句は敗戦翌年の春の作という。平和の戻った窓からこぼれる明かりは、むろん白熱灯だった。昭和の匂う光に感謝しつつ、新旧交代の流れに乗るとする。


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