HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 07 Jul 2012 22:21:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 1 東京新聞:ヒッグス粒子 探求心はどこまでも:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

ヒッグス粒子 探求心はどこまでも

 重さの源、また神の粒子とも呼ばれるヒッグス粒子の“発見”は現代物理学の輝かしい成果である。日本人グループが携わったこともうれしい。その探求精神こそ人類が未来へ歩む力なのである。 

 発見はまだ完全ではないが、物理学者たちは口をそろえて間違いないだろうと言い、年内の確認が見込まれている。

 その粒子がどれほど見つけにくいか、英国BBCのニュースは、日本でもおなじみの宇宙物理学者ホーキング博士のこんな談話で紹介していた。

 「ぼくは、見つからない方に百ドルかけていました」

 ちゃめっ気もあるのだろうが、少し前までは発見不能かとも思われていた。それが巨大な加速器と超高速コンピューター、それに日米欧の国際合同チームという三つの力が合わさって、はじめて“発見”へとこぎつけたのである。

 そこには未知のもの、宇宙の真理を知りたいという、人間のあくなき探求心がある。科学のどの分野でもいえることである。

 物理学の歴史は、古代ギリシャ人が「自然とは何か」とたずねたことから始まった。物は何からできているのか、力とは一体何なのか。アトム、原子という言葉が生まれ、アルキメデスは浮力を見つける。

 時代は下ってニュートン力学、電磁気理論ができる。アインシュタインは相対性理論を考え素粒子物理学は原子の奥の奥へと入る。

 物理現象を説明するために、あるべき素粒子が次々に計算され、予言された。予言は実験物理が実証していく。

 たとえば湯川秀樹博士の中間子理論は一九三五年に発表、四七年に英国で発見という具合である。英国のヒッグス博士の予言は一九六四年。ほかの粒子が次々見つかる中、ほんとうに存在するのか実証は進まなかった。

 予言された十七全粒子が見つかっても、宇宙のすべてが説明されるわけではない。学問の歴史を振り返れば解明は次のなぞを生む。そこに人類の挑戦もある。

 神の粒子が宇宙を満たしているといわれて、ぴんと来る人はまずいない。

 しかし、優れた研究、卓越した勇気、成果をひたすらに求める努力に心うたれない人はいまい。世紀の発見が、ただ学問上の発見だけでない理由はそこにある。科学者を目指す子どもは間違いなく増えただろう。私たちはそうやって未来をひらいてきたのだ。

 

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