HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 06 Jul 2012 21:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ロ首相国後訪問 信頼構築に逆行する:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

ロ首相国後訪問 信頼構築に逆行する

 ロシアのメドベージェフ首相が北方領土・国後島を訪問した。実効支配を誇示する強硬姿勢は日本国民の対ロ感情を悪化させかねない。軌道に乗りつつあった関係改善の機運に逆行する。

 メドベージェフ氏は択捉島への訪問計画が悪天候で不可能となると、急きょ国後島に向かう熱意を示し、上陸すると「土地は一片たりとも(日本に)渡さない。国の分裂につながる」などと挑発的発言を繰り返した。

 日ロは先月行われた野田佳彦首相とプーチン大統領の首脳会談で停滞している北方領土交渉を「静かな環境」で「再活性化」することで合意した。メドベージェフ氏の言動は信義則違反である。

 メドベージェフ氏は二〇一〇年十一月、歴代の国家元首として初めて国後島を訪問し、日ロ関係は戦後最悪の状態に落ち込んだ。しかし東日本大震災でのロシアの敏速な対日支援で雪解けムードが高まり、天然ガス輸入などのエネルギー協力も進展している。

 不毛な非難の応酬で、関係が再び険悪化する事態は避けたいが、国家主権に関わる領土問題では毅然(きぜん)とした姿勢を示すことが重要だ。外務省がアファナシエフ大使を呼んで抗議したのは当然だ。

 国後訪問は日本の対ロ不信感を増幅させた。ロシア側はこの事実を認識すべきだ。こうした状況で九月にウラジオストクで行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)などで日本から全面協力を期待することができるだろうか。

 国後訪問にはメドベージェフ氏が国内で存在感を示す思惑も見え隠れするが、係争地域への訪問は、最高権力者であるプーチン氏の了解なくして不可能である。

 そのプーチン氏は、盤石の指導力を誇った政権二期目でも歯舞、色丹の二島引き渡しで最終決着を図るとの立場を固持し、「東京宣言」に明記された四島の帰属交渉に入る姿勢を示したことはない。都市中間層の離反で政権基盤に陰りが見えるプーチン氏個人に過大な期待を抱くべきではない。

 プーチン政権は巨額の政府予算を投入し、北方領土開発を進める「ロシア化」政策を推進している。メドベージェフ氏のように実効支配を固定化する強硬姿勢を示しつつ、プーチン氏らが柔軟な言動をちらつかせ経済協力などを引き出す。硬軟両様の揺さぶり戦術だ。日本側は「クレムリン流交渉術」を冷静に見極め、長期戦も覚悟し、忍耐強く交渉を続けていくべきだ。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo