HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 52116 Content-Type: text/html ETag: "17128dc-36c3-59615a00" Cache-Control: max-age=1 Expires: Sat, 07 Jul 2012 03:21:02 GMT Date: Sat, 07 Jul 2012 03:21:01 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
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2012年7月7日(土)付

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国会事故調―全原発見直しに生かせ

東京電力・福島第一原発の事故は「人災」である。国会の事故調査委員会(黒川清委員長)が、そう結論づけた。根本的な原因が政界・官僚・事業者が一体となった原発推進構造と責任感[記事全文]

アフガン和平―タリバーンを引き込め

アフガニスタンの自立と復興支援を話しあう国際会合が、東京で開かれる。会合での合意をもとに、反政府武装勢力タリバーンとの政治対話を、早く再開させる必要がある。外国の戦闘部[記事全文]

国会事故調―全原発見直しに生かせ

 東京電力・福島第一原発の事故は「人災」である。国会の事故調査委員会(黒川清委員長)が、そう結論づけた。

 根本的な原因が政界・官僚・事業者が一体となった原発推進構造と責任感の欠如にあるという認識は、私たちも同じだ。

 最終報告書での問題提起を、原発政策の抜本的な見直しに反映させなければならない。

 調査委員会による公開での参考人質疑や論点整理の段階では、詰めの甘さや判断根拠の薄弱さが懸念されたが、640ページに及ぶ報告書は、事故の前と後とを丁寧に追跡・分析した内容に仕上がった。

 物足りない部分はある。使用済み核燃料処理の問題や、電力会社の株主・債権者の役割といった点は対象外とされた。

 何より、国政調査権を有しながら、自民党政権時代にさかのぼった政治の関与や介入についての検証に踏み込まなかったのは残念だ。

 それでも、生かすべき指摘は多い。とりわけ注目したいのは3・11以前の電力会社と規制当局の関係だ。

 電力会社が安全性より原発の稼働率や訴訟リスクの回避を優先し、耐震基準の改定や過酷事故対策といった規制強化から、いかに逃れようとしたか。

 国民の安全確保にもっとも留意すべき原子力安全・保安院や原子力安全委員会が、どのように電力会社に取り込まれていったか。それらが、具体的に描かれている。

 報告書は「関係者に共通するのは、およそ原子力を扱う者に許されない無知と慢心」と批判し、東電に対しては「事業者としての資格があるのか」と疑問を突きつけた。国民共有の思いだろう。

 問題は、こうしたなれ合いの構図が他の電力会社や原発にも共通するのではないか、という点だ。特に報告書が懸念するのは耐震補強の不備である。

 報告書は、福島事故で津波の前に地震によって機器が損傷した可能性を「否定できない」と明記した。再稼働に向けて、政府が主に津波を念頭に進めてきた安全対策は、肝心のところが抜け落ちていないか。全原発の調査にとりかかるべきだ。

 せっかくの報告書だが、今後の活用について法律上の規定がない。このままだと「反省して終わり」になりかねない。

 憲政史上、初めて国会が独自に設けた調査委員会の成果である。政争の具にすることなく、原子力行政や原子力事業者の監視に反映させる義務を、すべての国会議員が負っている。

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アフガン和平―タリバーンを引き込め

 アフガニスタンの自立と復興支援を話しあう国際会合が、東京で開かれる。会合での合意をもとに、反政府武装勢力タリバーンとの政治対話を、早く再開させる必要がある。

 外国の戦闘部隊は2014年末までに撤退し、その後の治安の責任はアフガンの国軍と警察に委ねられる。この年には大統領選挙があり、カルザイ氏の後継者による政権が生まれる。

 この過渡期にアフガンの政治が乱れ、治安がさらに悪くなれば、過去10年の国際社会の支援は水泡に帰しかねない。

 和平と安定を確実なものにするための土台を、今のうちに固めておく必要がある。

 治安面で米欧の関係国は、戦闘部隊が撤退した後も10年ほどは、国軍や警察の訓練や人件費の支援を続ける考えだ。

 東京会合のテーマとなる自立や復興面でも、国際社会は、貧困軽減や経済発展のため、20年代半ばまでの長期的な支援に取り組む姿勢を確かめ合う。

 米同時多発テロ事件後の米軍などの侵攻によってタリバーン政権が崩壊して11年。この間の国際支援によって学校に通う子どもは大幅に増え、国民の多くが病気の治療を受けられるようになった。日本も過去10年に4千億円以上を投じて、教育や医療、農業支援のほか空港建設や首都圏整備を手がけてきた。

 この間、カルザイ政権の行政の非効率は常に問題になった。

 援助の効果を上げるには、汚職の追放や人材育成を進め、NGOの力をいかして、アフガンの人たちに「平和の配当」を実感してもらう必要がある。

 ただ、肝心のタリバーンとの政治交渉は後退している。カルザイ政権との協議は昨年9月、自爆テロによる高官殺害を機に途切れた。タリバーンと米国との対話も今年3月に止まった。

 タリバーンの政権時代にも穏健派はいた。対話を再び始め、彼らを引き込む努力をあきらめてはならない。国民的な和解がなければ、紛争解決への出口は見えてこない。

 変化の兆しはある。先に京都で開かれた会議にタリバーン幹部が出席、外国軍の撤退を条件に対話再開への意欲を示した。カルザイ大統領も来日前の会見で、選挙を通じた国政参加をタリバーン側に求めた。米国や国連、関係国は最大限の努力を払うべきだ。

 日本はこれまでアジアの平和構築に貢献し、アフガンでも元タリバーン兵の社会復帰に取り組んでいる。アフガンの人たちの信頼は高い。政府は、和平の仲介にもっとかかわるべきだ。

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