HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 05 Jul 2012 21:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:大阪の政治条例 行き過ぎはいけない:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

大阪の政治条例 行き過ぎはいけない

 大阪市の橋下徹市長が、市職員の政治活動を規制する条例案を提出する。違反した場合は原則懲戒免職、とする内容。憲法が保障する、思想や表現の自由を侵しかねず、慎重な議論を望みたい。

 条例案では▽政党や政治団体の機関紙を発行・配布する▽デモ行進などを企画・指導する▽集会で政治目的の意見を言う−などを規制する。国家公務員法と人事院規則で定める政治的行為に準拠している。

 国家公務員が違反した場合、三年以下の懲役か百万円以下の罰金が科せられる。しかし地方公務員法では政治活動に制限はあるものの罰則規定がない。橋下市長が問題視したのはここだ。

 当初は条例案に国家公務員並みの罰則を盛り込もうとした。これに対し政府は「懲戒処分で、地方公務員の地位から排除すれば足りる」と、地方公務員法制定時の趣旨を用い「待った」をかけた。民主党の支持母体でもある自治労などへの配慮があるのだろう。

 ところが、「排除」という文言を逆手にとった市長は罰則の代わりに懲戒免職を盛り込んだ。ここまで強硬なのは昨秋の市長選で、対立候補の前市長を役所ぐるみで支援するなど行き過ぎた職員労組の活動が明らかになったからだ。

 橋下流なのだろうが、またぞろけんかを仕掛けているようにも見える。市長VS労組の新たな対立で、行政運営に支障が生じてはサービスを受ける側の住民が迷惑するだけだ。

 公務員にはむろん政治的中立が要求される。執拗(しつよう)な投票依頼や、勤務中の政治活動はあってはならない。公職選挙法は公務員の地位利用を禁止している。

 一方で公務員にも、憲法が定める表現の自由、思想・良心の自由は保障される。基本的人権や日常生活まで侵害されれば、職員は萎縮し労組は反発を強めるだけだ。職場の活性化は望めず、橋下市長が目指す不祥事の撲滅につながるとも思えない。

 最高裁は一九七四年、北海道・猿払事件で国家公務員の罰則規定に合憲判断を示したが「合理的で必要やむを得ない限度内」と条件づけている。その後も法曹界の意見は割れ、現在も別の事件が上告中だ。仮に今条例で懲戒免職された職員が提訴すれば、その有効性が問われかねない。

 大阪維新の会は目指す公務員改革で過度の条例を次々と編み出している。それらが“荒療治”になっていないかチェックが必要だ。

 

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