HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51568 Content-Type: text/html ETag: "151b03-17e6-4c4039a625b95" Expires: Wed, 04 Jul 2012 23:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 04 Jul 2012 23:21:10 GMT Connection: close 露首相国後訪問 交渉の「再活性化」に逆行する : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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露首相国後訪問 交渉の「再活性化」に逆行する(7月5日付・読売社説)

 ロシア新政権の対日姿勢は、決して好転していない。

 それを前提に、政府は対露外交を練り直すべきである。

 ロシアのメドベージェフ首相が、北方領土の国後島を訪れた。極東地域の視察の一環というが、「我々の古来の土地だ。一寸たりとも渡さない」と語っている。領土返還を求める日本を牽制(けんせい)するのが狙いだろう。

 先月、野田首相とプーチン大統領が会談し、領土交渉の「再活性化」で一致したのは、一体何だったのか。日露が新たな関係を構築しようという矢先に、ロシアがいきなり日本の主張を一蹴する行為に及んだことは看過できない。

 玄葉外相は、「日露の前向きな雰囲気作りに水を差す」と不快感を示した。政府がロシアに抗議したのは当然だが、訪問を察知しながら止められなかった点に、対露外交の弱体ぶりが表れている。

 メドベージェフ氏の国後島訪問は大統領時代の2010年11月に続いて2度目だ。当時の菅政権は、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を巡る対応で揺れていた。今回も民主党分裂の時期と重なった。

 日本の政権の混乱にロシアがつけ込んでいるようにも見える。このままでは、インフラ整備や軍備増強で北方領土の「ロシア化」が進み、領土返還は遠のこう。

 政権を立て直し、日米同盟を基軸とした外交体制の強化を図っていくことが重要である。

 プーチン政権は、5月に極東発展省を新設するなど、極東地域の開発に一段と力を入れ始めた。

 ウラジオストクで9月に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を、アジア太平洋の国々からの投資を呼び込む好機と位置づけている。

 日露首脳会談でもプーチン大統領は、野田首相に対し、「日露の潜在力に比べれば貿易額はまだまだ低い」として、日本企業の投資増大を望む意向を示した。

 そう考えるのであれば、メドベージェフ氏の北方領土訪問のような挑発的な行動は、ロシアにとってもマイナスであり、自制すべきだっただろう。

 液化天然ガス(LNG)などエネルギー分野での日露協力を拡大することは双方に利益となる。

 経済力や軍事力を背景に急速に存在感を高める中国と向き合うためにも、日露の連携は重要だ。

 両国間のトゲになっている北方領土問題をどう解決するか。

 近く玄葉外相が訪露する。焦る必要はない。腹を据えて事態の打開に取り組まねばならない。

2012年7月5日01時33分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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