HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 04 Jul 2012 21:21:52 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:厚生年金基金 公平性こそ改革の要だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

厚生年金基金 公平性こそ改革の要だ

 厚生年金基金の改革を検討していた厚生労働省の有識者会議が、報告書をまとめた。民間の企業年金存続の危機を公的な厚生年金が後始末する対策だが、これではとても納得できない。

 AIJ投資顧問の事件で被害に遭った厚生年金基金は、民間が独自に運用する企業年金の一つだ。

 基金は国が管理する公的な厚生年金の一部を国に代わり運用する。運用益をより増やすため、基金加入者が払う厚生年金の積立金を国から借りて原資としてきた。

 事件で明るみに出たのは、支給に必要な資金が国から借りた分を下回る「代行割れ」問題である。

 高い利率で運用できた高度成長期はよかったが、今はそれが見込めなくなった。全体の約四割、二百十三基金が代行割れし、不足額は計六千億円を超す。

 代行をやめるには不足分を国に返す必要があるが、その体力がない基金は存続の危機にある。

 有識者会議の改革案は、国への返済額を減らし負担を軽くする。基金の構成企業が倒産して返済できなくなると残りの構成企業がその分を負担するルールがあるが、これの廃止も提案した。

 返済額の減額分や倒産企業の債務は公的な厚生年金が穴埋めすることになる。基金とは無関係な厚生年金加入者が負担を迫られる。そのなかには、企業年金など上乗せ年金のない中小企業の従業員も多くいる。

 基金はこれまで自由に運用して利益を得ていながら、行き詰まったら後始末を厚生年金に負わせるのは筋が通らない。

 代行部分の積立金は本来、厚生年金加入者全体の資産だ。積立額は約六百基金で約十五兆円ある。一部とはいえ公的年金を民間に預けることに疑問がある。そもそも代行部分は厚生年金に返すのが本来の姿だが、有識者会議がその方向性を示さなかったのは残念だ。

 民主党の制度改革案では、代行部分の積立金を返し別の企業年金制度に衣替えして、基金制度の将来的な廃止を打ち出している。

 優良基金もあり制度存続を求める声はある。だが共済年金と厚生年金の一元化など年金制度は公平性が強く求められている。基金加入者や受給者の保護策は必要だが、負担と給付に不公平が出ては制度を維持できない。

 厚労省は基金をここまで放置してきた責任がある。報告書を基に政府の改革案をまとめるが、公平で納得できる制度にすべきだ。

 

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