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2012年7月5日(木)付

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厚生年金基金―代行廃止は政治の仕事

AIJ投資顧問による年金消失をきっかけに運営難が表面化した厚生年金基金を今後、どうしていくか。厚生労働省の有識者会議が報告書をまとめたが、根本的な解決策は示せなかった。[記事全文]

消費増税―円滑な転嫁のために

消費増税関連法案の審議が、近く参議院で始まる。民主、自民、公明3党の賛成で、法案はこの国会で成立する見通しだ。税率は14年4月に5%から8%へ、15年10月には10%へと引き上げられる。[記事全文]

厚生年金基金―代行廃止は政治の仕事

 AIJ投資顧問による年金消失をきっかけに運営難が表面化した厚生年金基金を今後、どうしていくか。

 厚生労働省の有識者会議が報告書をまとめたが、根本的な解決策は示せなかった。利害関係者も参加した有識者会議の限界だ。政治が全体を見渡して決めていくしかない。

 多くの基金は、運用難から苦し紛れの一発逆転を狙い、高利回りをうたう詐欺的な投資話にひっかかった。

 有識者会議は「苦しい基金には解散を促す。そのために基準を緩和する」点では一致した。

 しかし、基金が厚生年金の保険料の一部を国に代わって運用する「代行部分」を存続させるかどうかという核心については結論を出さず、両論併記にとどめた。

 代行部分は、国から預かったお金である。返せなくなれば、基金とは関係のない厚生年金加入者の保険料アップや積立金の減少につながる。

 現状で、返すための手持ち資金が足りない「代行割れ」基金が約4割あり、不足額は約6300億円になる。

 代行存続派の有識者からは「財政が健全な基金も多い。運用は長期的にみれば回復する時期もある」「代行がないとスケールメリットが働きにくく、効率的な運用ができない」といった意見が出された。

 ただ、今は健全な基金も、これからはどうか。全体的に基金の運用状況は悪化している。過去10年間、厚生年金本体の平均運用利回りを上回った基金は、595基金中4基金だけだ。

 下回った分を、穴埋めする体力が企業にあればよい。だが、基金の約8割は同業の中小企業が集まった「総合型」である。穴埋めしようとすれば経営が傾く企業が少なくない。

 1社つぶれたら、その債務を他の加入企業が肩代わりする連帯責任について、報告書は廃止を求めた。これは裏を返せば、国が負うリスクが高まったということだ。

 一方、代行部分を含む運用によって、基金が厚生年金に上乗せできている額は1人あたり月平均7600円ほど。退職後の支えとは言えない。

 そんな制度を、公的年金をリスクにさらしてまで維持する意義は乏しい。まさか、基金の天下り役員や運用を受託する金融機関のためではあるまい。

 代行の廃止に向けた制度設計に入るべきだ。民主、自民、公明の3党合意で設置される社会保障改革の国民会議で議論するのも一案だ。

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消費増税―円滑な転嫁のために

 消費増税関連法案の審議が、近く参議院で始まる。民主、自民、公明3党の賛成で、法案はこの国会で成立する見通しだ。税率は14年4月に5%から8%へ、15年10月には10%へと引き上げられる。

 だが、課題は山積している。「社会保障費を国債発行に頼らず、今を生きる全員で負担していく」という増税の趣旨に沿って、対策を急がねばならない。

 大きな課題のひとつは、増税分を事業者がきちんと転嫁できる環境を整えることだ。

 97年に税率が3%から5%に上がった際、増税分を価格に上乗せできたかどうかを尋ねたアンケートがある。日本商工会議所などが昨年、実施した。

 年商が10億円を超える事業者で「転嫁できなかった」が3分の1。年商1500万円以下では3分の2に迫り、規模の小さい事業者ほど転嫁が難しい様子がうかがえる。

 日本経済はデフレに陥り、消費者の安値志向は続く。大企業からの値下げ要請は、円高対策もあって強まる一方だ。

 増税分を転嫁できないと、中小事業者の経営はますます悪化し、「消費税倒産」を引き起こしかねない。

 政府が検討している対策は次のようなものだ。

 公正取引委員会を中心に独占禁止法などの適用を徹底し、「優越的地位の乱用」や買いたたきに目を光らせる。業界ごとに一致して転嫁を進める価格転嫁カルテルを認める。相談窓口を多く設け、中小事業者の泣き寝入りを防ぐ……。

 価格の表示でも規制をゆるめる。現在は消費税額を含む「総額表示」が義務づけられているが、書籍に認められている「本体価格○○円プラス税」を条件付きで広げる方針だ。短期間に税率が2回上がるためだが、増税分を転嫁しやすくなる効果も期待したい。

 ただ、これらの対策には限界がある。結局のところ、消費者と事業者がそろって消費増税の意義と目的を理解し、納得することがカギとなる。

 消費増税に国民が反発する背景には、税率の引き上げだけが決まって、全体像が見えないことへの不満がある。

 所得が低いほど消費税の負担割合が重くなる逆進性への対策も未定で、民主、自民、公明3党の意見はまちまちだ。

 相続税や所得税の強化策は3党協議で削除され、今後の論議に先送りされた。

 課題を一つずつ解決し、国民に示していく。3党は時間を浪費している場合ではない。

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