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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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子どもの頃、お祭りの露店で「カラーひよこ」を買ったことがある。面白うてやがて悲しきというか、愛玩用の幼鳥は毒々しい赤や緑に着色され、思い返せば哀れな姿だった。〈染められてなお売れ残るひよこたち〉古俣麻子▼チルドレン、ガールズと十把一絡(じっぱひとから)げに呼ばれる国会議員の行く末を思うたび、この川柳が胸をよぎる。実力者の色に染まってバッジをつけたはいいが、「数こそ力」の駒に使われ、先々の保証はない▼子飼いのひよこたちを引き連れて、民主党の小沢元代表が離党する。衆参50人ほどで新党だという。離党届を小沢氏に預けていた議員は、身の処し方までを、有権者ではなく親分に委ねたことになる▼離党者に多い当選1回組は、世論が雪崩を打った「政権交代バブル」で永田町に職を得た。失礼ながら大半は、バブル崩壊の民主党では再選がおぼつかない。ここは選挙上手に身を任せ、反増税、なんなら脱原発も掲げて生き残る策だろう▼朝日歌壇に、先の句と対照をなす一首がある。〈自らの色で濃くなる苺(いちご)ジャム私は私であり続けよう〉大堂洋子。煮詰まるほどに紅(くれない)を深めるジャムには、他力で飾らぬ無着色の潔さがある。政治家もかくありたい▼激動の世で問われるのは「自らの色」だ。着色に甘んじ、独り立ちしないチルドレンは消えてゆく。ひよこじゃないとお怒(いか)りの皆様、集団離党の次のステップは自分で決めませんか。余計な色を落として出直すもよし、国政の経験を生かして転職するもよし。