HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51453 Content-Type: text/html ETag: "15c1b6-17d8-4c3c73cf048ce" Expires: Sun, 01 Jul 2012 20:21:11 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 01 Jul 2012 20:21:11 GMT Connection: close インサイダー 証券業界は情報管理の徹底を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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インサイダー 証券業界は情報管理の徹底を(7月2日付・読売社説)

 企業の機密情報を漏洩(ろうえい)することによって、インサイダー取引のきっかけを作っていた。その責任は極めて重い。

 野村証券が、企業情報の管理に組織的な不備があったことを認め、漏洩に関与した部門の担当役員の退任や首脳陣の減給、機関投資家向け営業の1週間停止などの社内処分を発表した。

 これを受け、証券取引等監視委員会は野村に行政処分を科すよう、金融庁に勧告する方針だ。

 業界トップの不祥事は、日本市場に対する国際的な信用を失墜させた。野村は猛省し、情報管理体制を見直さねばならない。

 今年3月以降、企業の公募増資に関する情報を悪用したインサイダー取引が相次いで摘発されている。このうち3件の情報漏洩元が主幹事証券の野村だった。

 証券会社では不正を防止する自主ルールとして、企業の増資業務を扱う法人部門と、株売買を行う営業部門との間で、情報を遮断する壁を作ることになっている。

 ところが、野村では、営業部門の幹部らが恒常的に法人部門から入手した増資情報を、顧客に提供していた。増資は企業の重要な経営戦略だ。営業活動のために機密情報を漏らすことは許されない。倫理観の欠如は明らかだ。

 野村は2008年にも、企業の合併・買収を扱う部門の社員がインサイダー取引で摘発され、金融庁から業務改善命令を受けた。

 ずさんな情報管理を改善できなかった経営責任は重大だ。

 しかも、野村は当初、監視委に対し、「情報管理に問題はない」と主張したという。自浄能力に欠けると批判されても仕方ない。

 6月末にSMBC日興証券(旧日興コーディアル証券)の元執行役員がインサイダー取引に関与した疑いで逮捕された。公募増資を巡るインサイダー取引で、大和証券からの情報漏洩も発覚した。

 3大証券すべてがインサイダー取引に関与していたことは、業界の深刻な漏洩体質を示す。

 情報管理体制の整備については、日本証券業協会がガイドラインを作成している。ただ、どこまで徹底するかは、各証券会社に任されてきた。業界をあげて、再発防止に取り組むことが急務だ。

 現行の金融商品取引法では、インサイダー取引で罪に問われるのは、原則、内部情報の伝達を受けて株売買を行った側だけだ。

 日本は海外から「インサイダー天国」と批判されている。漏洩側にも罰則を科すなどの法改正を早急に検討すべきである。

2012年7月2日01時32分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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