HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 30 Jun 2012 22:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:イラン核問題 外交解決の余地はある:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

イラン核問題 外交解決の余地はある

 イランの核問題をめぐる協議が行き詰まっている。ウラン高濃縮を断念しないイランに対し、米欧は経済制裁を強化する。緊張はさらに高まるが、対話の窓口を閉じてはならない。

 欧州連合(EU)は七月一日からイラン産原油の全面禁輸に踏み切る。米国は既にイラン中央銀行に対する金融制裁措置をとった。日本は原油輸入を大幅に削減して、米欧に協力している。

 イランと、国連安全保障理事会の常任理事国にドイツを加えた六カ国による協議が六月中旬、モスクワで開かれたが、進展はなかった。

 六カ国側は核兵器製造につながる濃縮度20%のウラン生産の停止と、中部フォルドゥの地下核施設の閉鎖を求めた。イランは「民生用原子炉の燃料とする平和利用だ」と主張した。一時は20%濃縮を中止する意向もほのめかしたが、「まず米欧が経済制裁をやめるか、大幅に緩和せよ」と要求し、対立は解けなかった。

 ウラン濃縮は施設公開を拒否するなど不明な点が多すぎる。衛星写真により、核兵器の起爆実験をした後、証拠隠滅をしている疑いも浮上した。国際社会が警戒するのも当然だ。

 核開発に歯止めがかからない場合、心配されるのは、イスラエルがイランの核施設に対する空爆を再三、警告していることだ。攻撃と報復の連鎖が起きれば、危機は中東全域に拡大する。今は下落傾向にある原油の国際市場価格が急騰し、世界経済に深刻な影響を与えるだろう。

 ただ、イランと六カ国は七月三日に実務者協議をすることで合意し、対話のパイプを何とか維持している。

 イラン国内では食料やガソリン、輸入医薬品などの価格が高騰し、インフレが進んでいる。国の財政を支える原油収入が激減すれば、政府はさらに苦しい立場に追い込まれよう。

 米欧側は粘り強く対話を続け、イランから譲歩を引き出すべきだ。追加制裁には同調しないロシアや中国には、ウラン濃縮中止を説得する役割が求められる。外交解決の余地はまだある。

 中東は極めて不安定な状態だ。シリアは事実上の内戦に突入した。エジプトでは初めてイスラム主義者の文民大統領が誕生したが、軍部との権力闘争の懸念は消えない。中東の大国イランの核問題という大きな火種を、何とかして消さなければならない。

 

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