HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51278 Content-Type: text/html ETag: "219ee0-179e-4c38a9a61835f" Expires: Fri, 29 Jun 2012 01:22:32 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 29 Jun 2012 01:22:32 GMT Connection: close 脱法ハーブ 野放しにせず厳しく規制を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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脱法ハーブ 野放しにせず厳しく規制を(6月29日付・読売社説)

 麻薬に似た脱法ハーブが、若者らに蔓延(まんえん)している。早急な規制強化が必要である。

 危険なハーブは「脱法ドラッグ」「合法ハーブ」などと称し、歓楽街やインターネットで公然と売られている。

 乾燥した植物に、麻薬に近い化学成分を混ぜたものが多い。紙巻きたばこのように火をつけて吸うと、幻覚を見るなど麻薬を吸った時と同様の状態になる。

 東京都内では、1〜5月だけで100人近くが救急車で病院に運ばれた。横浜市などでは死亡した人もいる。吸引後に自動車を運転し、他人を巻き込む人身事故を起こすケースも相次いでいる。

 対策として、まず必要なのは脱法ハーブを明確に「違法」とし、販売に歯止めをかけることだ。

 厚生労働省は7月から、新たに9物質を規制対象に加える。

 薬事法は、販売すれば罰則が科される薬物について、化学的な構造を厳密に指定している。

 しかし、厚労省の対応は後手に回っている。同じ症状を引き起こす物質でも、わずかに構造が違えば規制の対象外となってしまうからだ。これまでも、規制を受けない類似物質がすぐに登場し、いたちごっこが続いてきた。

 こうした状況を打開するため、厚労省は、構造の主要部分が一致する物質を一括して禁止する「包括指定」の導入を検討している。英国では、すでにこの方式が実施されているという。

 刑罰を科す要件が曖昧になるとの慎重論も根強いが、薬物を野放しにすることで社会がさらされる危険を考慮すれば、日本も包括指定に踏み出すべきだ。

 内閣府の消費者委員会も、消費者の安全にかかわる、と現状を問題視し、包括指定方式の採用を厚労省に提言している。

 海外で売られている脱法ハーブの情報を集めて成分を分析し、国内に持ち込まれる前に禁止薬物に指定してしまう“水際対策”も必要だろう。

 脱法ハーブは、麻薬よりずっと安い値段で手に入るため、若者が興味本位で吸引する場合が多く、ゲートウエー・ドラッグ(入門薬物)とも呼ばれる。気軽に購入した人が、いずれ麻薬や覚醒剤に手を染めることが多いためだ。

 脱法ハーブは極めて危険だと周知し、薬物依存につながる芽をつみ取ることが重要である。

 厚労省や警察、自治体だけでなく、学校や地域などが協力して、販売業者の監視や、若者への啓発に取り組まねばならない。

2012年6月29日01時12分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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