HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 38413 Content-Type: text/html ETag: "b7f73b-22a1-c4889b00" Cache-Control: max-age=1 Expires: Thu, 28 Jun 2012 21:21:09 GMT Date: Thu, 28 Jun 2012 21:21:08 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年6月29日(金)付

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 今年の日本ダービーを走った18頭のうち、優勝馬を含む7頭がディープインパクトの子だった。名馬2世の活躍に思うのは血統の底力だ。ひたすら速さを追求して300年、サラブレッドの品種改良はすでに芸術の域とされる▼愛玩用の小型犬など、人の都合で細工された生き物は多い。こんどは、飛ばないテントウムシだという。野菜につくアブラムシをとことん食べさせる作戦である。もぞもぞ群れるだけのアブラムシ、天敵に腰を据えられてはお手上げだろう▼害虫退治に天敵を使う「生物農薬」の発想は前からある。ただ、肝心の益虫が作物に居ついてくれないと始まらない。テントウムシも、移動させない工夫が必要だった▼近畿中国四国農業研究センター(広島県福山市)などは、ナミテントウという種類から飛ぶ力の弱い個体を選び、交配を続けた。30代目あたりで、どれもトコトコ歩くだけになったという。試しに畑やハウス内に放つと、アブラムシの増殖が抑えられた▼飛ばない性質は子に継がれる。幼虫も大食らいで、代々「住み込み」で働いてもらえば効果は大きい。ごく狭い土地で生を終えるため、生態系への影響も限られるという。農家には朗報、駆除される側にはとんだ発明である▼だがどんな生物も、進化という自前の品種改良を重ね、しぶとく生き残ってきた。なにせアリを用心棒に雇うほどの知恵者である。恐ろしさを増した天敵に食われ続けるうちに、畑のアブラムシには羽が生えるかもしれない。

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