HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 26 Jun 2012 21:21:56 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 「人殺し!」という叫びが、「刑法の父」と呼ばれた法律家の…:社説・コラム(TOKYO Web)
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 「人殺し!」という叫びが、「刑法の父」と呼ばれた法律家の生き方を変えた。一九七六年に開かれた殺人事件の上告審判決。二審の死刑を支持する判決を最高裁小法廷が言い渡し、五人の判事が退廷する時に傍聴席から声が上がった▼直接証拠はなく一貫して否認だった。状況証拠は犯人を示しているように思えたが、陪席判事だった団藤重光さんは「本当にやったのだろうか」と引っ掛かっていた▼傍聴席からの罵声ぐらいでは驚かないが、確信を持てなかっただけに胸に突き刺さった。この経験が、立法で死刑を廃止するしかないと考える転機になった▼死刑廃止論の理論的な支柱だった団藤さんがきのう、老衰のため九十八歳で亡くなった。敗戦後、三十代で刑事訴訟法改正の重責を担い、最高裁判事時代にかかわった「白鳥決定」では、再審開始の基準を緩めた▼戦後の刑訴法の「生みの親」は、裁判員制度をどう見ていたのだろう。東大大学院情報学環准教授の伊東乾さんとの対談『反骨のコツ』で、団藤さんは明確な反対意見を述べていた▼「市民の司法参加そのものは、本当は僕、大賛成なんだけど、民衆からもっと湧き出てこなきゃ嘘(うそ)ですよ」「そういう根無し草がプカプカ浮いているだけだから、だめです」。実際に、裁判員が死刑判決にかかわるようになった今、どう考えているのか聞いてみたかった。

 

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