HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 24 Jun 2012 21:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ツアーバス 安全な夏休みのために:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

ツアーバス 安全な夏休みのために

 まずは夏休みに向けて万全を期してほしい。群馬県の関越自動車道であった高速ツアーバス事故を踏まえ、国土交通省が検討している安全対策だ。利用客の快適な旅を保証する強い決意を求めたい。

 四十六人が死傷した大惨事の直接の原因は運転手の居眠りだった。だが、バス会社には日雇いで運転手を乗務させるなど二十八項目に及ぶ法令違反があった。

 バス会社の事業許可の取り消しはもとより、ツアーを企画した旅行会社の業務停止も、社会的影響の大きさを考えれば当然の処分だ。人命よりも利益を優先したと疑わざるを得ない。

 夏休みに備えて国交省は、夜間に一人でツアーバスを運転できるのは従来よりも二百七十キロ短い原則四百キロまでとし、それを上回る場合は運転手を交代させる新しい基準案を作った。違反すれば運行停止などの行政処分を科す。

 過労運転の防止策を話し合う有識者検討会の議論を経て六月中に決定し、七月半ばからの運用を目指すという。例えば、東京駅から名古屋駅や仙台駅までだと運転手は一人で足りる。金沢駅や京都駅までとなると二人が必要だ。

 悲惨な事故を二度と繰り返してはならない。安全を二の次と考えるような悪質業者は締め出すべきだ。そのためにも新基準を厳しく適用してもらいたい。

 もっとも、多くの犠牲者が出るまで六百七十キロを上限とする従来の基準を放置した国交省の責任は重い。乗務は一日九時間までと定めた厚生労働省の労働時間の基準を距離に換算しただけだった。

 夜間や長距離の乗務が運転手の心身にどれほどの負担を与えるか。重要な視点が欠けていた。二〇一〇年に総務省は改善を勧告したが、国交省は動かなかった。

 関越道の事故を受けて国交省が全国のバス運転手を対象に実施したアンケートだと、安全に運転できる距離は平均で夜間三百四十五キロ、昼間四百二十キロにとどまった。六百七十キロ基準がいかに現場の安全感覚と懸け離れていたか。

 ツアーバスを運行できる貸し切りバス会社は約四千五百社に上る。安全対策をバス会社に任せ切ってきた旅行会社にも、運行責任を負わせる仕組みは効果的だろう。契約上の立場を超えて一丸となって知恵を絞ってほしい。

 欠かせないのは利用客への安全情報の開示だ。旅行会社はツアーの募集広告に交代運転手の配置計画などの表示を求められる。利用客の選択眼も問われよう。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo