HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51267 Content-Type: text/html ETag: "fecfe-17c0-4c326409cc6d6" Expires: Sat, 23 Jun 2012 22:21:12 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 23 Jun 2012 22:21:12 GMT Connection: close ベアリング業界 不正な「なれ合い」を断ち切れ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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ベアリング業界 不正な「なれ合い」を断ち切れ(6月24日付・読売社説)

 業界内のなれ合い体質が不正の温床となっていた。悪弊を断ち切らねばならない。

 自動車部品などに使われるベアリングの販売を巡る価格カルテルが摘発された。公正取引委員会は、大手メーカー3社と元役員ら7人を独占禁止法違反の疑いで検事総長に告発し、検察当局が起訴した。

 ベアリングは機械の回転部分の摩擦を小さくする部品で、洗濯機や冷蔵庫など多くの製品に組み込まれている。市場規模は国内だけで年間4000億円と巨大だ。

 不正を自主申告し、告発を免れた1社を含めると、市場での大手4社の占有率は9割近い。ベアリングの製造では高度な技術力が求められるため、新たな企業が参入することも難しい。

 こうした状況で、大手4社が価格の協定を秘密裏に結べば、市場の公正さが(ゆが)められてしまうのは明らかである。

 カルテルは最終的に割高な製品価格となって消費者に跳ね返る。公取委が「国民生活に重大な影響を及ぼす」として、3年半ぶりの告発に踏み切ったのは当然だ。

 大手4社は、原材料となる鋼材の価格上昇分を転嫁するため、2004年から10年まで5回にわたり、ベアリング価格の値上げを繰り返した。取引先別に価格の提示額を少しずつ変え、カルテルの発覚を防ぐ工作もしていた。

 この業界は、1973年にも価格カルテルで公取委の行政処分を受けた。なれ合い体質が改められていなかったのは問題だ。業界内で法令順守の意識を徹底させ、再発防止を図る必要がある。

 今回注目されるのは、2006年に導入された課徴金減免制度が摘発に結びついた点だ。

 自ら不正を申告した企業は最大5社まで課徴金が減免される。特に、公取委の立ち入り検査前に最初に申告すれば、課徴金全額が免除され、告発も見送られる。

 密室で協議を重ねる談合やカルテルは証拠が残りにくかったが、この制度の導入により、公取委は手がかりを得やすくなった。

 申告件数は増加傾向にある。公取委は申告を摘発につなげ、「不正は割に合わない」という意識を浸透させることが肝要だ。

 カルテルに関しては海外当局も監視を強めている。近年、米国や欧州では、日本企業が巨額の罰金を科されるケースが目立つ。

 これらの不正行為が国際的な信用失墜につながることを、海外で事業展開する日本企業は改めて肝に銘じるべきだろう。

2012年6月24日01時28分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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