HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 48733 Content-Type: text/html ETag: "85652d-392e-19a18800" Cache-Control: max-age=1 Expires: Sat, 23 Jun 2012 23:21:03 GMT Date: Sat, 23 Jun 2012 23:21:02 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
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2012年6月24日(日)付

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住民投票―民意反映の回路増やせ

東京都民の生活に大きく影響する東京電力管内の原発稼働に、賛成か反対か。これを問うための住民投票条例案が、都議会で否決された。3月には、同様の案が大阪市議会で否決されてい[記事全文]

子育て支援―小規模保育を生かそう

社会保障改革をめぐる民主、自民、公明の3党合意に、民主党内で不満が渦巻いている。看板政策だった「総合こども園の創設」を撤回したり、保育団体の既得権保護につながるような野[記事全文]

住民投票―民意反映の回路増やせ

 東京都民の生活に大きく影響する東京電力管内の原発稼働に、賛成か反対か。これを問うための住民投票条例案が、都議会で否決された。

 3月には、同様の案が大阪市議会で否決されている。

 東京で32万人、大阪で5万5千人が条例制定の請求に署名した。その意思が生かされなかったのは残念でならない。

 住民投票や、日本では実現していない国民投票は、間接民主制を補完する手段としてますます重要になると考えるからだ。

 選挙で選ばれた議員や首長が、国や自治体の予算や法律、条例を決めていく。これが日本の民主主義の基本だ。

 だが、それだけではすまない事例も起きるようになった。典型が原発問題だ。

 安全を重視するのか、経済を優先するのか。再稼働をめぐり国民の意見は割れている。加えて、その決定を担うはずの政治や行政に対する不信は強まるばかりだ。

 そんなときに住民の意向を問う住民投票は、間接民主制を補う格好の手段だ。私たちは昨秋、さらに一歩進めて、憲法改正に限らぬ国民投票制度の導入も提言した。

 条例制定の請求に石原慎太郎知事は「観念的に原発の是非のみを問い、結果が錦の御旗のごとく力を持つならば国を滅ぼす」と言い放った。「おまえたちは黙っていろ」と言わんばかりだ。

 ただでさえ政治家は、住民投票など直接民主制的な手法には否定的だ。昨年、政府が検討した法的拘束力のある住民投票の一部導入も、自治体の首長や議長の反発で見送られた。

 選挙で選ばれた責任を自覚するのは結構だが、それは決して「白紙委任」ではない。民主主義の意思決定を独占しようというのは、政治が直面する課題が複雑になった現代にはそぐわないし、危険ですらある。

 もちろん、住民が必ずしも合理的判断をするとは限らない。だからこそ、賛否両論のテーマについて、討論を通じて意見の変化を見る「討論型世論調査(DP)」や、くじで選ばれた市民が地域の課題を繰り返し話し合う「市民討議会」という新たな手法も広まってきた。

 政府が今後のエネルギー基本政策をまとめるにあたり、DPをとりいれるというのは歓迎すべき動きだ。

 こうした直接民主制的な手法は、国民の政治参加への意識を高める効果もある。

 国政や地方自治に民意を反映させる回路は、多い方がいい。

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子育て支援―小規模保育を生かそう

 社会保障改革をめぐる民主、自民、公明の3党合意に、民主党内で不満が渦巻いている。

 看板政策だった「総合こども園の創設」を撤回したり、保育団体の既得権保護につながるような野党の主張を盛り込んだりしたためだ。

 だが、子育て支援の改革が変質したとまではいえまい。

 大事なのはこれからだ。

 まず、子育てへの財源確保に全力をあげる必要がある。消費税の増税分で確保されるのは7千億円だが、合意では「1兆円超が必要」と踏み込んだ。残り3千億円の捻出に、3党は共同責任を負った。

 同時に、より多くの子どもたちが、公的な支援を公平に受けられる仕組みづくりを急がなければならない。

 光を当てるべきは、いま認可保育所に入れず、不利な立場にいる子どもたちだ。

 たとえば、ベビーホテルなど認可外保育施設の利用者は、少なくとも19万人近くいる。認可保育所に比べて、公的なお金が入らない分、利用料は高く、施設や人員配置などの面で見劣りしがちだ。

 そこを、どう底上げしていくか。有効な手段になりうるのは、新たに設けられる「小規模保育」や「家庭的保育」といった事業である。

 一軒家やマンションのスペースなども利用して保育サービスの量を迅速に、ただし質が低下しないよう気をつけながら、増やしていく。3党も、ここに力を入れることで一致する。

 責任が重くなったのは、実務を担う市町村だ。子ども一人ひとりの保育サービスの必要性を判定し、利用を保障しなければならない。

 この「需要の把握」を、住民が納得できる基準で行う必要がある。子育て中の親たちの声を運営にしっかり反映させる仕組みづくりがカギを握る。

 その結果、保育サービスが足りないと分かったら、市町村は供給を増やす責任がある。基準を満たした施設なら参入させる原則を徹底すべきだ。

 今回の改革は相当に大がかりなので、すでにある保育所の関係者が不安を抱くのはわかる。

 だが、既存の保育所が新規参入者を嫌がるから認可しない、という裁量行政は許されない。

 今のままでは、まともな保育施設に入れていない子どもや、働く必要があっても子どもを預けられずに働けない親は、救われないからだ。

 一体改革の主眼が子育て世代の支援にあることを忘れてはならない。

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