HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 22 Jun 2012 20:21:11 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:延長国会 「決めない」のも政治だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

延長国会 「決めない」のも政治だ

 通常国会の会期が九月八日まで七十九日間延長された。消費税増税のための「一体」改革法案の成立が目的だが、それ以外にこそ、決めるべきことはたくさんある。優先順位を間違えてはならない。

 眼前の課題は放置され、二年先の消費税増税だけが先に決まる。政治生命を懸けた消費税増税をほぼ手中にした野田佳彦首相にとっては、面目躍如というところか。

 国民の多くは順序がおかしいと思うが、その声は政府や民主党執行部に届かない。

 ねじれ国会でもあり、政府提出法案の成立率は35%にとどまる体たらくだ。国会議員だけが担う立法という仕事を全うするには大幅な延長が必要なことは理解する。

 ただ、限られた時間である。決めるべきことにこそ力を注ぎ、無為に時間を過ごすべきではない。

 一体改革法案は民主、自民、公明三党などの賛成で近く衆院を通過し、参院での審議を経て今国会中に成立する見通しだ。

 しかし、政権を託された二〇〇九年衆院選のマニフェストに書いていない消費税増税を、民主党が自公両党と手を結んで進めることには、やはり納得がいかない。

 小沢一郎元代表ら民主党内にも法案反対を明言する議員がいるのは当然だ。小沢氏らは離党・新党結成も視野に入れる。首相は、民主党が打撃を被っても、増税さえ実現すればいいというのか。

 消費税増税の決定は、一年かけて検討する社会保障抜本改革の結論が出るまで棚上げすべきだ。増税が本当に必要かどうか見極めるのは、それからでも遅くはない。

 首相は、消費税増税の民自公三党合意を「決められない政治」からの脱却だと言うが、その詭弁(きべん)にはだまされたくない。国民の多くが疑問に思う政策なら「決められない」方がましである。参院議員の良識に望みをつなげたい。

 延長国会ではまず、衆院の「一票の格差」是正と、国会の無駄排除に力を注ぐべきだ。違憲・違法状態を放置し、政党交付金や文書通信交通滞在費などの特権に手を付けない国会が信頼されるのか。

 民主党が国会に提出した衆院比例代表に一部連用制を導入する案は、消費税増税への公明党の協力を得ようとの思惑が丸見えだ。

 一票の格差是正のために「〇増五減」は最低限必要だが、選挙制度を抜本的に変えるのなら有識者に議論を委ねるのも一手だ。議員を選ぶ土俵づくりは、党利党略とは距離を置くべきである。

 

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