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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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鳥の飛翔(ひしょう)力は想像を絶する。カモメの仲間なのに水が苦手なセグロアジサシ。繁殖地の孤島を巣立ったが最後、長じて戻るまでの3〜4年は、ほとんど海の上を舞い続けるそうだ。水面すれすれで魚を捕らえ、眠るのも飛びながらというから驚く▼水辺にいるタカの一種、ミサゴも漁の名手だ。獲物を見つけるとヘリコプターのように空中にとどまり、狙いを定めて急降下する。緩急自在の曲芸飛行、英名をオスプレイという▼同じ名を持つ米軍機の話題が、バタバタと騒がしい。海兵隊などの輸送を担う怪鳥は、主翼の両端に角度が変わる回転翼を備え、ヘリのような離着陸と、飛行機なみの高速移動が可能。沖縄の普天間飛行場に配備される計画で、本土での訓練も見込まれる▼沖縄の反発は激しい。なにせ試作段階から墜落が続き、今年もモロッコと米国で落ちた機種である。市街地に接し、すでに世界一危険とされる普天間への飛来は、地元の感情を逆なでしよう▼今年も沖縄慰霊の日を迎えた。復帰40年にして、基地の中に島があると言われる現実は動かない。オスプレイもそうだが、県民の平穏と安全を犠牲に、日米関係や極東情勢を重んじる国策がまかり通ってきた▼小欄、軽々しくタカよりハトが好きとは言わない。安全保障には冷徹な戦略が必要だろう。だが、ここまで歪(ゆが)んだ負担を見過ごせようか。一つの地域、それも平和の聖地であるべき島を震わす羽音は、もうたくさんだ。「ひめゆり」たちも眠るに眠れまい。