HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 20 Jun 2012 20:21:49 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:AIJ社長逮捕 被害を広げた野放し:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

AIJ社長逮捕 被害を広げた野放し

 AIJ投資顧問の年金資産消失問題は、浅川和彦社長らの詐欺事件に発展した。勤労者の老後の安心を脅かした責任は重大だ。なぜこんな悪質業者が野放しだったのか。国の監視機能も問われる。

 警視庁の逮捕容疑だと、浅川容疑者ら四人は昨年七〜八月、東京の企業年金基金と長野の厚生年金基金に、うその利回りを基にした価格でファンドを売り、計約七十億円をだまし取ったとされる。

 資金は運用に回さず、ファンドを解約する顧客の基金への払い戻しに充てていた。こうした自転車操業は、AIJが事実上破綻した二〇〇九年四月から繰り返されていたようだ。

 浅川容疑者は国会の証人喚問で、顧客にうその運用実績を説明したことを認めた。だが「だまそうと思ったことはない」と詐欺の犯意は否定している。警視庁は真相解明に全力を挙げてほしい。

 AIJは全国の基金から約千四百六十億円を委託され、約千九十億円の大穴をあけたとされる。返還できそうなのは、今や八十億円余りにとどまる見通しだ。なぜ被害がこんなに膨らんだのか。

 リーマン・ショックで世界的な株安に見舞われて以降も、AIJは高利回りをうたってファンドを売り込んでいた。〇九年二月に年金専門誌が投資詐欺を指摘する記事を載せ、顧客の解約が相次いだ。すでに疑惑は広がっていた。

 ところが、金融庁や証券取引等監視委員会がこの時期にAIJを厳しく調べた形跡は見当たらない。被害の拡大を食い止める好機を逃したのではないか。

 基金の多くに旧社会保険庁を中心とする官僚OBが天下りしていたことは周知の事実だ。AIJと基金との仲立ちをした年金コンサルタントのOBも存在した。

 問題が見過ごされてきた背景に天下り人脈によるなれ合いがなかったか。そんな疑いを向けられても仕方があるまい。

 AIJに運用を任せていた基金に加入する多くは、経営体力の弱い中小零細企業だ。公的な厚生年金に上乗せされる自前の積立金ばかりではなく、国に代わり運用してきた公的年金の蓄えを失ったのは痛恨だった。

 とはいえ、AIJのリスクを見抜けず、投資を一任した基金の責任は見過ごせない。救済策が検討されているが、公的年金保険料や税金での穴埋めは許されない。

 老後を支える年金資産の運用を手掛ける業者はもっと厳しくチェックされてしかるべきだ。

 

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