HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 49813 Content-Type: text/html ETag: "b2b70d-36d7-6c442500" Cache-Control: max-age=3 Expires: Sat, 16 Jun 2012 21:21:04 GMT Date: Sat, 16 Jun 2012 21:21:01 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. 社説

社説

朝日新聞社説をもっと読む

朝日新聞社説のバックナンバー

 大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の社説。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。

有料版のご購読で
朝刊で声やオピニオンも読める!社説など過去1年分の新聞記事が検索できる!
社説だけまとめて読むなら
3カ月分まとめて読める!WEBマガジン「朝日新聞 天声人語・社説」

2012年6月17日(日)付

印刷用画面を開く

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

大飯再稼働―原発仕分けを忘れるな

関西電力大飯原発3、4号機の再稼働が決まった。野田政権は脱原発依存への道筋を示さないまま、暫定的な安全基準で再稼働に踏み切った。多くの国民が納得しないのは当然である。こ[記事全文]

子どもと移植―家族と現場を支えねば

「息子が誰かのからだの一部となって長く生きてくれる」こんな両親の言葉に、胸を打たれた人も多かったのではないか。脳死と判定された幼いわが子の臓器を提供する、重い決断を終え[記事全文]

大飯再稼働―原発仕分けを忘れるな

 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働が決まった。

 野田政権は脱原発依存への道筋を示さないまま、暫定的な安全基準で再稼働に踏み切った。多くの国民が納得しないのは当然である。こんな手法は二度と許されない。

 原発に絶対の安全はない。事故が起きたときの被害は甚大である。原発はできるだけ早くゼロにすべきだ。ただ、短期的には電力不足で日々の暮らしや経済活動に過大な負担がかかりかねない。どう取り組むか。

 私たちが昨年来、求めてきたのは全原発の「仕分け」だ。

 福島事故の教訓をしっかり反映させた新たな安全基準と個々の立地に基づき、危険性の高い炉や避難が難しい原発から閉めていく。そのうえで第三者の目で必要性を精査し、当面動かさざるをえない最小限の原発を示し、国民の理解を得る。

 こうした作業の要となるべきなのが、8月にも発足する原子力規制委員会とその事務局となる原子力規制庁だ。

 これまでの原子力安全委員会や原子力安全・保安院は、地震や津波の専門家から活断層の存在や過去の津波被害などについて新たな知見が示されても、規制の強化に反映しないなど、原発推進機関と化していた。

 新しい組織が抜本的に生まれ変われるのか。規制委5人の人選は極めて重要だ。委員の中立性を保つため、原子力事業者からの寄付情報の公開も徹底しなければならない。

 規制庁は約1千人規模となるが、当初は大半が保安院や安全委、文部科学省など従来の原子力関連組織からの移籍組だ。

 統合される原子力安全基盤機構(JNES)を含めて、いずれも電力会社や原子炉メーカーに、人や情報の面で依存する部分が大きかった。

 器を変えても、なかで仕事をする職員の意識が変わらなければ、独立性が高まった分、「原子力ムラ」がかえって強化されかねない。

 規制庁は、5年後から全職員に出身官庁への復帰を認めないことにした。この間に職員の意識改革を徹底し、独自採用を含めて人材の確保・育成を進める必要がある。

 政権内には、新組織が発足すれば、残る原発も従来のストレステストの延長線上で再稼働が決まっていくとの期待がある。

 だが、規制委や規制庁がまず取り組むべきは厳格な安全基準の策定だ。それに基づいて、すべての原発を評価し直し、閉じる原発を決めていく。再稼働はそれからだ。

検索フォーム

子どもと移植―家族と現場を支えねば

 「息子が誰かのからだの一部となって長く生きてくれる」

 こんな両親の言葉に、胸を打たれた人も多かったのではないか。脳死と判定された幼いわが子の臓器を提供する、重い決断を終えての言葉である。

 2年前に臓器移植法が改正され、15歳未満の子どもからの臓器提供に道が開かれて以来、6歳未満の幼児からの、初めての臓器提供例となった。

 男の子の心臓や肝臓は、10歳未満の女児らに移植された。

 両親の願いがかなうように、手術をした病院は力を尽くすとともに、橋渡し役の日本臓器移植ネットワークは、残された家族を長期にしっかり支える態勢を整えなくてはならない。

 男児は低酸素脳症で入院していたという。どういう経過で死に至ったのか。大人より基準が厳格な脳死の判定と、幼児虐待がないことの確認は、どうなされたか。両親が提供を決めるまで、そしてその後はどのようなことが進んだか。

 家族のプライバシーと意向を大切にしつつ、移植ネットワークには、経過をできるだけ明らかにし、透明さを保つことを求めたい。今後の検証も重要だ。

 それは、移植医療という重い行いへの信頼を築き、理解を広める判断の材料が示される必要があるためだ。両親の思いに心を寄せることにもつながる。

 子どもの臓器移植は、日本にとって長く、重い課題だった。

 97年にできた臓器移植法は、脳死からの臓器提供に当たって本人の書面による同意を必要とし、15歳未満の子どもは法律上、臓器を提供できなかった。

 小さい子どもには小さい臓器が必要だ。重い心臓病の子どもが移植を受けようとすれば、巨額の寄付を募って、米国などに渡るほか方法がなかった。

 しかし、どの国でも、提供者より移植を待つ人の方が圧倒的に多い。渡航しての移植に厳しい目が注がれるようになり、世界保健機関(WHO)も10年、自国内で移植を受けるよう求める指針を決めた。

 10年の法改正に続き、今回の例で一歩を踏み出したとはいえ、課題はなお多い。

 とりわけ、わが子の脳死というつらい現実に突然直面し、決断を迫られる親への支援が重要だ。親をはじめ家族が納得できるためには、救命のための治療が尽くされることが大前提で、移植コーディネーターの役割もきわめて重要だ。

 もともと余裕の少ない小児救急の現場や、移植の支援スタッフの充実がはかられてこそだ。地道な取り組みが必要だ。

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介
朝日新聞デジタルビジネスリーダー講座のご案内