HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 37576 Content-Type: text/html ETag: "14668e0-22d1-a79c000" Cache-Control: max-age=5 Expires: Fri, 15 Jun 2012 20:21:15 GMT Date: Fri, 15 Jun 2012 20:21:10 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年6月16日(土)付

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 女子も同じだろうが、「男子三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ」という。人は日々変わる、心して接すべしという戒めだ。潜伏17年、社会が刮目して捜す顔が司直の手に落ちた▼殺人容疑などに問われたオウム真理教元信徒、高橋克也容疑者(54)。連行される中年男は、最後の逃走劇での映像、似顔絵のどれとも違って見えた。「会わざる数日」を経た鮮明な輪郭、伸びた髭(ひげ)は実物にしかない存在感を放っていた▼容疑者はマンガ喫茶にいた。住んでいた川崎からJRで一駅の距離は、動くに動けぬ雪隠(せっちん)詰めを思わせる。匿(かくま)ってくれる仲間もいないのか、潜伏と呼ぶには無防備な、くすんだ末路である▼追い詰めたのは、防犯カメラという「定点監視チーム」と、異例の公開捜査だろう。メディアに毎日さらされる己の近影。解像度に関わらず、逃げ慣れた身にもこたえたはずだ。街角や天井から降り注ぐ「無言の刮目」は、監視社会の息苦しさと引き換えに、犯罪者の日常をしばる▼「これほど長く逃げ回っていたことは、事件による被害に輪をかけて、私たち被害者や遺族を苦しめました」。地下鉄サリン事件で駅員の夫を亡くした、高橋シズヱさん(65)の言葉は鋭い。一人が逃げた月日は、万人が泣いた歳月でもある▼これで、特別手配されたオウムの残党はすべて捕まった。しんがりの男には重い仕事が待つ。苦い記憶の断片を残らず法廷に差し出し、狂気の実相をありのまま語ることだ。泣かせ続けた者の、せめてもの償いである。

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