HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50738 Content-Type: text/html ETag: "1007e1-179d-4c271fe38adf6" Expires: Thu, 14 Jun 2012 20:21:14 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 14 Jun 2012 20:21:14 GMT Connection: close 「大阪都」法案 財政調整に国の関与は必要だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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「大阪都」法案 財政調整に国の関与は必要だ(6月15日付・読売社説)

 次期衆院選をにらみ、橋下徹大阪市長が率いる地域政党・大阪維新の会を敵に回したくないとの思惑があるのだろう。

 橋下氏が提唱する「大阪都」構想の実現に向け、民主、国民新両党は、東京23区のような「特別区」の設置を可能にする特例法案を国会に共同提出した。

 自民、公明、みんなの党なども同じ目的の地方自治法改正案を出している。各党は、与野党の計3案を早期に一本化する方向だ。

 地域事情に応じて自治制度を選択できる法整備は、地方分権の趣旨に合致する。だが、各党が橋下氏の意向に沿うように結論を急ぐのは疑問だ。緊急性がある法案でもない。将来に禍根を残さぬよう慎重に議論してもらいたい。

 与党案と二つの野党案で最大の違いは、国の関与の程度だ。与党案は、特別区の税源配分や財政調整に法整備を必要とする場合、総務相の同意を求めている。

 都構想の実現には、地方税法や地方交付税法など、多くの法改正が必要になる。住民生活に支障がないよう円滑に新制度へ移行するには、国が制度設計の段階から関与するのは当然のことだ。

 野党案は国の関与が薄い。情報提供や説明を受ける程度だ。

 たとえば、自治体が特別区への移行に併せて地方交付税の増額などを国に求めた場合、国はそれを拒めない可能性がある。他地域の交付税が減額され、国の統治のあり方も揺らぎかねない。

 与党の特例法案を軸に調整を図るべきだろう。

 特別区を設置するための人口要件でも、与党の「200万人以上」から、みんなの党の「70万人以上」まで開きがある。

 一定の人口規模がなければ、市を分割して特別区を設けても、福祉など基本的な住民サービスを独自に担うのは難しい。かえって区議会設置などのコストが膨らみ、非効率にならないか。

 ただ、法案は、特別区設置の手続きを定めているに過ぎない。肝心なのは、地方の側がしっかりとした制度を作れるかどうかだ。

 都構想の具体像を巡る議論は、大阪府・市で始まったばかりだ。大阪市をどう分割するか、特別区にどこまで権限・財源を持たせるか、検討すべき課題は多い。

 府議会や市議会には、「大阪市の分割によって活力がそがれる」「現状でも二重行政の解消は可能だ」という反対意見もある。

 橋下氏は、多様な意見を踏まえて立案すべきだ。住民にも丁寧に説明する責務があるだろう。

2012年6月15日02時25分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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