HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 14 Jun 2012 20:21:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:スペイン支援 欧州は抜本対策を急げ:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

スペイン支援 欧州は抜本対策を急げ

 ユーロ圏諸国がスペインの銀行に最大一千億ユーロ(約十兆円)の支援を決めた。だが、市場ではすぐに不安が広がり、ユーロ危機は深刻度を増すばかりだ。欧州はもう抜本策を打ち出すしかない。

 ユーロ圏で経済規模が四位のスペインの金融・財政危機はギリシャの比ではない。世界経済の大きな不安要因である。支援は先週末、ユーロを導入する十七カ国が緊急の電話協議で決めた。

 スペインの銀行は不動産バブルの後遺症で不良債権に苦しみ、五月下旬に大手バンキアが国に支援を要請した。しかし、財政が火の車の国に余裕はない。他行も含め計三百七十億ユーロの資本注入が必要と国際通貨基金(IMF)は試算を出していた。

 それをはるかに上回る資金支援だった。本来なら歓迎ムードに包まれるはずだ。しかし、市場は資金が直接、銀行に注入される仕組みを期待したのに、ドイツなどが「銀行が破綻すれば損失が生じる」として反対。結局、資金はスペイン政府を経由、政府が保証するため、国の借金がかえって増えかねない事態となってしまった。

 もう弥縫(びほう)策は限界ではないか。これで欧州諸国の支援を仰いだのはギリシャ、アイルランド、ポルトガルに次いで四カ国目だ。ギリシャ危機では民間の国債保有者に損失(借金棒引き)を負わせた。その異例措置があったために「危ない国」の国債は売られやすい。スペイン国債は支援決定後に売られて利回りが急上昇、危険水域といわれる7%の寸前まで上がった。「次」とみられ、イタリアの国債利回りも6%を超えた。

 欧州の債務・金融危機はすでに二年に及ぶ。だが、火の手は収まるどころか拡大するばかりだ。小出しの対応で時間を稼いでも事態は好転しない。経済力が違う国々が通貨を統合するだけでは立ちゆかないのは明白だ。ユーロ共同債の発行といった財政や、銀行監督・規制の統合は早急に実現すべき課題である。

 十七日はギリシャで再選挙が行われ、結果次第ではギリシャのユーロ離脱も現実になりかねない。ユーロにとって最大の試練を迎えることになろう。

 さらに欧州問題は、メキシコで十八日から始まる主要二十カ国・地域(G20)首脳会議で最重要テーマとなる。ドイツやフランスなどユーロ圏に対して厳しい目が向けられるのは間違いない。今度こそ危機収束に向けた実効性のある行動が求められるだろう。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo