HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 15 Jun 2012 01:21:09 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:原子力規制委 廃炉規定はどうなる:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

原子力規制委 廃炉規定はどうなる

 民主、自民、公明三党が原子力規制組織の発足で大筋合意した。「廃炉四十年」の原則を維持しつつも、新設の「原子力規制委員会」発足後に見直すという。廃炉規定を骨抜きにしてはならない。

 原発の運転期間を原則四十年としながら、九月までに発足させる原子力規制委員会が速やかに見直すことになった。つまり、原発が四十年を超えて運転する判断は、同委員会に丸投げされる。自民党の意見に配慮したという。脱原発を求める国民の思いは反映されるだろうか。

 ここで思い出してほしい。細野豪志原発事故担当相は今年一月末に、運転開始から四十年を超えている原発の再稼働は「今の状況ではあり得ない」と明言していた。しかも、二十年の延長を認めることについても、「例外中の例外だ」と強調していたのだ。

 もともと原発の寿命に定めはなく、三十年で国の審査を受け、問題なしと判断されれば、継続使用され、その後も十年ごとに審査を受ければよかった。機器を取り換えれば、原発は老朽化しないという建前のもとで、期限はあいまいなままだったのだ。

 「原則四十年」という政府方針が、三党合意の「見直す」という言葉で、あり得ないはずの四十年超の運転を現実化させないだろうか。例外中の例外のはずの「延長二十年」が、むしろ常態化しないだろうか。少なくとも原発の寿命規定が、なし崩しにされる恐れが濃厚に出てきた。

 原発の規制の在り方については、国会の事故調査委員会が提言することになっている。報告書がまとまる前に、こうした合意がなされること自体が、見切り発車といえる。事故調は超党派の議員立法でつくられた国政調査権を持つ組織だ。事故調の役目をないがしろにしているのと同然で、自己矛盾でもある。

 細野氏は先月、二〇三〇年時点の原発比率を「15%がベース」とも発言した。仮に四十年超が例外でなくなれば、国のエネルギー政策が変更されることも意味する。

 原子力規制委員会は、独立した三条委員会として新設される。非常時には首相に「指示権」が付与されるとはいえ、再稼働の妥当性から、原発事故の対応まで強大な権限を持つ。

 それだけに人選は中立的な立場で行われるべきだ。法律家や思想家ら幅広い分野からも人材を求め、廃炉への道筋を公正に考えてほしい。

 

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