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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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大漁に二日なしという。潮流や水温に左右される漁獲は気まぐれで、船が傾(かし)ぐほどの水揚げはそうそう続かない。年ごとに取れなくなる背景には、汚染や乱獲もあろう。豊漁貧乏もつらいが、魚影が薄すぎては商売にならない▼ツナ缶の苦境が報じられた。原料のキハダマグロやカツオが十分に取れず、値上げの瀬戸際だという。利益が出にくいからメーカーも意気が上がらず、10年前に年6万トンあった生産量は4万トンを割った▼不漁の一因は、南米ペルー沖から中部太平洋の水温が下がるラニーニャ現象らしい。ただし本当のところは分からない。滋養豊かなツナ缶は途上国で人気が高まり、原料の不足感は尾を引きそうだ▼本紙別刷り「be」にあった「好きな定番缶詰」の投票でも、首位はツナ缶だった。代名詞の「シーチキン」は発売から半世紀。チキンの代用品を思わせる商標は、マグロがより大衆的だった時代をしのばせる。今なら、鶏肉をマグロに似せた「ランドツナ」が開発されてもおかしくない▼希少化によるピンチといえばウナギである。3年続きの記録的不漁で稚魚の価格が高騰、輸入も減り、かば焼きはますます高い。どうも魚の総量が減ってきたようだ▼SUSHIを先兵に、健康的な魚食文化は世界に広まった。このうまさに気づかれたか、という思いはあるけれど、若い世代の魚離れを知れば偉そうに元祖づらもできない。垣根のない水の畑を囲む国々が、知恵を持ち寄り、長く食べつなぐ道を探りたい。