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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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男の子はたいてい乗り物が好きだ。昭和の昔から人気があるのは「はたらく車」である。消防車や清掃車、ブルドーザーにフォークリフト。ただ、働くからといってすべてが正義の味方とは限らない▼昨夏のこと、中国から北朝鮮に軍用の大型特殊車両4台がこっそり輸出された。春の軍事パレードで「新型弾道ミサイル」を背負った、あの16輪車だ。「動く発射台」の輸出は、北朝鮮に軍用物資を送らないと決めた国連安保理決議に背く▼この車を運んだ船が後日大阪に寄港した折、立ち入り検査で輸出目録という動かぬ証拠が見つかり、米国と韓国に通報された。米に内々に問われた中国は輸出を認めた上で、「伐採した大木を運ぶための車」と強弁したそうだ▼〈名月をとってくれろと泣く子かな〉一茶。北朝鮮と中国の縁は、だだっ子におもちゃを買い与える親に似る。甘やかした子がだめになるのは世の常、気の利いたご近所なら親をやんわり諭すのが道だろう▼ところが、日米韓は国連決議違反の公表を控えた。中国は北朝鮮の暴発を抑えている、いたずらに追い詰めたくないという米政府の意向らしい。一時(いっとき)でも非行が収まるなら、おもちゃの一つや二つと。北朝鮮はしかし、よからぬ仲間に火遊びの道具を広めている、とも伝えられる▼「はたらく車」も、使いようで破壊と人殺しの機械に化ける。ミサイルという大木を運ぶモンスターが裏道をすり抜ける不気味、捨て置けない。国際社会は「親」に直言する時である。