HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 11 Jun 2012 21:21:17 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 明治の初め、日本で最初に鉄道が敷かれたばかりのころの小咄…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 明治の初め、日本で最初に鉄道が敷かれたばかりのころの小咄(こばなし)である。「おめえ陸蒸気(おかじょうき)へ乗ったって」「ピーとかポーとか言いやがると、ひとりでに動き出しゃがんだよ。で、だんだん速くなってきて、窓の外を見ると畑や田圃(たんぼ)、しめえにゃ山まで飛んでくるんだよ」「危ねえなそりゃ」「だけどそいつがまた上手(うま)く避(よ)けらあ」▼落語家の立川談四楼さんが『寿限無のささやき』で紹介している。少々大げさだが、初めて汽車に乗った庶民の素朴な驚きが伝わる▼鉄道が最初に開通したのは一八七二年。品川−横浜間の仮営業に続き、新橋−横浜間の二十九キロが開通し、乗合馬車なら四時間かかるところを一時間で結んだ▼以来、今年で百四十年。いまや最高時速三百キロの新幹線が突っ走り、客を大量輸送するジェット機が列島上空を飛び交う時代だ▼科学技術の進歩は私たちを幸福に導くのか。原発事故を経験した後、便利さを当たり前のように享受することを疑い、本当の豊かさとは何かを考える人たちが確実に増えた▼野田佳彦首相は、地下の断層が動く可能性が指摘される大飯原発の再稼働を決めた。「国民の生活を守る」と強調したが、本当に守りたいのは電力会社の経営ではないのか。今後、なし崩し的に原発を再稼働させる決意にも聞こえた。車窓の景色は避けてくれても風に乗った放射能は避けてはくれない。

 

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