HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 48778 Content-Type: text/html ETag: "9dc258-3980-5ec254c0" Cache-Control: max-age=3 Expires: Sun, 10 Jun 2012 23:21:05 GMT Date: Sun, 10 Jun 2012 23:21:02 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. 社説

社説

朝日新聞社説をもっと読む

朝日新聞社説のバックナンバー

 大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の社説。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。

有料版のご購読で
朝刊で声やオピニオンも読める!社説など過去1年分の新聞記事が検索できる!
社説だけまとめて読むなら
3カ月分まとめて読める!WEBマガジン「朝日新聞 天声人語・社説」

2012年6月10日(日)付

印刷用画面を開く

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

スペイン危機―銀行崩壊を阻止せよ

欧州危機が、ユーロ域内第4の大国スペインに広がった。焦点は、不動産バブルの崩壊に伴う銀行の不良債権問題である。自己資本が足りなくなった大手銀行に政府が資本注入しようにも[記事全文]

漂流がれき―知らん顔はできない

東日本大震災の津波にさらわれたがれきが大量に太平洋上を漂い、北米に流れ着いている。自然災害が原因とはいえ、知らん顔はできない。環境省の推計によると、海に流出したがれきの[記事全文]

スペイン危機―銀行崩壊を阻止せよ

 欧州危機が、ユーロ域内第4の大国スペインに広がった。

 焦点は、不動産バブルの崩壊に伴う銀行の不良債権問題である。自己資本が足りなくなった大手銀行に政府が資本注入しようにも、財政危機で資金の調達がままならない。

 独仏をはじめとするユーロ圏の首脳たちは、スペイン政府を介さずに問題銀行へ資本注入できる体制を一刻も早く整えねばならない。

 今のスペインをかつての日本と比べると、銀行の状態はバブル崩壊が金融危機に転じた97年ごろに近い。だが、不動産の値下がり余地が大きく、財政に余裕がない点ではより深刻だ。

 国際通貨基金(IMF)はスペインの銀行を安定させるには少なくとも400億ユーロ(約4兆円)は必要と見積もった。格付け会社フィッチ・レーティングスはスペイン国債の格付けを3段階引き下げた。

 このままでは政府と銀行が共倒れし、第3の大国イタリアにも波及しかねない。何とかスペインの銀行システム崩壊を封じ込めなければならない。

 欧州連合(EU)は、危機に陥った国を支援する欧州金融安定化基金(EFSF)の資金を銀行に直接、注入できるようにする制度改革のほか、銀行の監督や破綻(はたん)処理を域内全体で担う新体制の構築に乗り出した。

 7月に発足する新しい安全網である欧州安定メカニズム(ESM)も拡充すべきだ。スペインは地方財政も破綻しつつあり、EUが財政支援を迫られる可能性が高いからだ。ESMは総額5千億ユーロを5年で積み立てる計画だが、増額し、日程も前倒しする必要がある。

 国債市場の動揺を鎮め、欧州全体の資金調達を安定化させるため、ユーロ圏共同債の実現にも踏み出す時だ。

 ところが、ドイツは負担をつけ回しされる懸念から、これらに一貫して抵抗してきた。メルケル首相は大局に立って譲歩すべきだ。

 18、19日にはメキシコで主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれる。欧州危機を抑え込むため、IMFに4300億ドル(約34兆円)の融資枠を新設することで合意する見込みだ。

 しかし、欧州が責任ある危機対応を見せなければ、新興国は支援をためらう恐れもある。豊かな欧州を救うことに国民が反発する懸念があるからだ。

 昨年のカンヌG20はギリシャの国民投票騒動で台無しになった。世界との協調がうまくいくか。欧州の首脳たちの行動にかかっている。

検索フォーム

漂流がれき―知らん顔はできない

 東日本大震災の津波にさらわれたがれきが大量に太平洋上を漂い、北米に流れ着いている。自然災害が原因とはいえ、知らん顔はできない。

 環境省の推計によると、海に流出したがれきの総量は約500万トン。そのうち7割が沿岸に沈み、残りの3割が漂流物となり、ハワイ諸島の北方を通って、東方へ流れている。

 アラスカの海岸で拾われたサッカーボールが岩手県の高校生に返される、といった美談もある。問題は、環境を汚染するプラスチックやオイル缶、ウレタンなども一緒に漂着していることだ。現地NGOによる回収が行われているが、人も資金も足りない。

 先日、青森県の浮桟橋が米国西海岸に流れ着いた。がれきの漂着はこれから本格化し、年末までに3万トン強が米国やカナダの沿岸に着く見込みだ。一部は潮流に乗って、太平洋を西に戻っていくとみられる。

 政府は、内閣官房の総合海洋政策本部をまとめ役にして、米政府との情報交換や漂流物の監視を続けているが、対応策を練るべき各省の腰は重い。

 自然災害による漂流物を処理する国際的な義務は、被災国にはない。とはいえ海岸や漁場の被害、海洋生態系への影響が出てからでは遅い。日本への批判の声がくすぶる前に手を打たねばならない。

 その地域で働く日本の外交官が、自治体やNGOの努力に感謝を伝えることも大事だ。

 そして、参考にしたいのが、3年前に議員立法でできた海岸漂着物の処理推進法だ。

 環境省に基金を作り、漂着したごみを回収した自治体やNGOを資金で支援した。この支援の発想を、海外にも広げよう。

 日本の港湾では航路の安全を確保するため、国土交通省の清掃船が浮遊ごみを集めている。北米沿岸や太平洋の島でもそんな技術を生かせぬか考えたい。

 海や川の環境保全に取り組んできたNGOのJEAN(本部・東京)は、米国のNGOと連携して、対策を話し合う会議への参加や日本からのボランティアの派遣を計画している。草の根の連携を実らせてほしい。

 海のごみ問題は、大震災以前から年々、深刻化していた。

 日本の沿岸には中国や韓国からの漁網や生活ごみが漂着し、住民を悩ませている。

 潮流の渦に吸い寄せられてできた巨大なごみ集積地が、太平洋上に数カ所あるという。震災がれきへの対応を含めて、海の恵みを後世に残すために力を合わせるべきだ。

検索フォーム

PR情報

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介
サッカー日本代表戦JFAユースプログラム 応募はこちら