HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50912 Content-Type: text/html ETag: "fed98-17ad-4c20c77963fcc" Expires: Sat, 09 Jun 2012 23:21:13 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 09 Jun 2012 23:21:13 GMT Connection: close 関越道バス事故 ずさんな運行実態を見逃すな : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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関越道バス事故 ずさんな運行実態を見逃すな(6月10日付・読売社説)

 高速ツアーバスの事故の再発を防がねばならない。

 国土交通省が、バス会社の規制強化に向けた検討に着手したのは、妥当と言えよう。

 関越自動車道で乗客7人が死亡した事故から1か月以上経過した。バス会社のお粗末な運行管理にはあきれるほかない。

 国交省は、バス会社の事業許可を取り消し、ツアーを企画した旅行会社に業務停止の処分を下す方針だ。当然の措置である。

 直接的な原因は運転手の居眠りだったが、会社側はツアー参加者の人命を預かるという自覚を欠いていたのではないか。

 対応が後手に回った国交省の責任も重い。官民が連携して安全対策を徹底しなければならない。

 事故を起こした運転手は、禁止された日雇い勤務で、乗務前に義務付けられた健康チェックを怠っていた。バス会社は、ルートなどを定めた指示書を作成せず、事故当日の運行は、長距離業務の経験が浅い運転手任せだった。

 法令違反は28項目に及んだ。過去の違反も改善されておらず、行政は事後チェックを怠った。

 問題なのは、これが特異なケースとは言い切れないことだ。

 2000年の参入規制緩和によって、ツアーバス会社は約4500社まで急増した。受注競争は激化し、過労運転が常態化している。総務省の調査では、運転手の9割が運転中に居眠りや睡魔の経験があると答えている。

 国交省の基準では、1人の運転手が1日に運転できる距離の上限は670キロ・メートルだ。

 ツアーバス業界は事故後、夜間に450キロ・メートル以上走る場合は交代運転手を用意するなどの独自指針を策定した。一歩前進と言えるが、指針には拘束力がない。

 ツアーを手がける旅行会社の多くが、安全対策をバス会社に任せ切りにしている点も問題だ。

 国交省は先週、高速バスツアーを扱う旅行会社に安全情報の開示を求めるガイドラインを策定することを決めた。ツアーの募集広告などに交代運転手の人数などを表示するよう義務付ける方針だ。速やかに運用してもらいたい。

 来夏までに、旅行会社にバスの運行許可を取得させることにしている。旅行会社の運行責任が重くなる。これも有益だろう。

 事故の被害が甚大だったのは、道路脇の防音壁とガードレールの間に隙間があり、衝突時に壁が車体にめり込んだことが一因だ。こうした隙間は全国5100か所に上る。改修工事が急務である。

2012年6月10日01時18分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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