HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 36463 Content-Type: text/html ETag: "9dc04a-22ad-5ec254c0" Cache-Control: max-age=2 Expires: Sun, 10 Jun 2012 00:21:52 GMT Date: Sun, 10 Jun 2012 00:21:50 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年6月10日(日)付

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 自省めくが、新聞やテレビの記者はついついニュースに追われがちだ。ジャーナリズム本来の「追う仕事」に忠実なのは、フリーを主とする報道カメラマンだろうか。名声と正義、生活のために、彼らは体を張る▼去年、世界の報道写真家は「春」を追い続けた。早春の大震災に、中東で広がる民主化運動「アラブの春」である。東京都写真美術館で恒例の世界報道写真展を見た(8月5日まで)▼イエメンのモスク。反政府デモで催涙ガスを浴びた18歳の青年を、黒ずくめの母親が介抱している。ミケランジェロのピエタ像、イエスの亡骸(なきがら)を抱く聖母マリアを思う。母子の愛に、キリスト教もイスラム教もない。偏見を突く作品と評価され、大賞に輝いた▼チュニジア、エジプト、リビアと春は巡り、長期独裁は崩れた。昨秋、市場の冷蔵室に横たわるカダフィ大佐の遺体をとらえたのはフランスのレミ・オシュリク氏だ。氏は4カ月後、転戦先のシリアで政府軍の砲撃に散った。28歳だった▼シリアでは、遅い春を待ちわびる民衆への弾圧、虐殺がやまない。銃弾をかいくぐるレンズは、写真展の審査委員長エイダン・サリバン氏(英国)の言葉を借りるなら、「暗闇の中の私たちの目」である▼闇の実相を命がけで伝える目があって、惨めに転がる子どもや女性は「物言う遺体」となる。国際世論を恐れて、独裁者は薄汚れた手でその目を塞ぎたがるが、勝負は見えている。人々の勇気に携帯カメラなども加勢し、目は無数なのだ。

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