HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 36288 Content-Type: text/html ETag: "14ac61d-22d0-20ca7800" Cache-Control: max-age=1 Expires: Sat, 09 Jun 2012 00:21:51 GMT Date: Sat, 09 Jun 2012 00:21:50 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年6月9日(土)付

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 今もそうなのか、どうか。日本のある大手航空会社の客室乗務員は、機内で否定語の対応をするべからず、と教育を受けていた。たとえばビールを頼まれて、「ない」と言ってはいけない。「ただ今はソフトドリンクだけ用意しております」。20年余り前に取材で聞いた話である▼茶をこぼした、ボタンがとれた、暑い、寒い――乗客の要望は様々だ。「スチュワーデスは乗客に対して理想のスチュワーデス像を演じるのが仕事」と教官は話した。だが、時代は変わったようだ▼航空会社スカイマークがサービス方針を示した、乗客向けの機内文書が話題を呼んだ。「機内での苦情は一切受け付けない」「丁寧な言葉遣いを義務づけていない」など8項目あって、微笑を消した強面(こわもて)ぶりだ。その中の一文が物議をかもした▼不満があれば消費生活センター等へ、と書かれていた。税金で運営される公的機関に「尻ぬぐい」をさせる不見識に、消費者庁が怒った。結局謝罪して回収したが、高飛車な文面と相まって空の旅の興をそぐ▼とはいえ、客の側にも無理難題を言う人はいる。「感情労働」という言葉があって、客室乗務員が典型とされてきた。自分の感情をひたすら押し殺し、相手に合わせた言葉と態度で応じる。強靱(きょうじん)な「堪忍袋」を求められる仕事である▼昔の空の「もてなし上手」は、一方(ひとかた)ならぬストレスの賜(たまもの)だったようだ。今のご時世、簡素なサービスは悪くないが、木で鼻をくくるのとは違う。取り違えないよう願いたい。

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