HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 07 Jun 2012 23:21:12 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:中国の政治改革 大胆に一歩を踏み込め:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

中国の政治改革 大胆に一歩を踏み込め

 一九八九年の天安門事件から二十三年が過ぎた。中国の経済はめざましく発展したが、一党独裁による社会矛盾は広がるばかりだ。中国は事件を見つめ直し、本当の政治改革に踏み込んでほしい。

 象徴的な光景だった。二十三年の節目を前に、人権活動家らが貴州省で開いた集会。参加者の多くは中年以上の市民で、歴史的な事実を教えられていない若者は遠巻きに見守るのみだったという。

 日本の大学で学ぶ知人の中国人留学生は「六・四(天安門事件)は知っていますが、最大の不満は社会の格差です」と言った。民主化を求めた学生が武力鎮圧された事件への思いは薄い。多くの大学生にとって、八九年六月四日の事件は、生まれる前のことだ。

 中国は、事件を学生たちによる「反革命暴乱」と決めつけ、政治に関する議論を封じ込めた。その代わりにいびつな市場経済を推し進め、世界第二位の国内総生産(GDP)を誇るまでになった。

 だが、党や政府への批判を許さぬ経済優先の体制こそが、権力者への富の集中や腐敗、モラル低下、とめどない都市と農村の格差拡大を招いた。今の若者たちが憤る社会矛盾の原点は、実は天安門事件への対応にあったといえる。

 中国政府は、四半世紀近くを経ても遺族の監視を続け、事件の再評価は拒んでいる。投獄中の民主活動家の釈放を求めた米国に「粗暴な内政干渉だ」と反発した。

 もしも歴史を封じ込め、事件を風化させようとするなら、国際社会の理解は得られまい。今の中国には、大国にふさわしい民主化の進展が求められる。

 社会を豊かにすることだけで、中国共産党の正統性を訴える時代は過ぎた。国民は何よりも自由、平等、公平を求めている。

 四年前の北京五輪のころ、言論の自由の制限などは、いくらか緩和された。だが、再び締めつけが強まっている。世界の目を気にしたポーズだったのなら残念だ。

 温家宝首相は三月、「政治改革が成功しなければ、これまでの成果も失われる」と危機感を示した。指導部の共通認識とし、大胆に一歩を進めるべきだ。

 改革派の胡耀邦元総書記の死が事件のきっかけとなった。胡錦濤総書記の師であった。温首相は事件で失脚した趙紫陽元総書記の側近だった。秋には指導部が交代する。改革の旗を受け継いだ弟子や側近なら、政治改革こそ最後の大仕事と肝に銘じてほしい。

 

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