HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50732 Content-Type: text/html ETag: "fed53-175f-4c1d00d78e27d" Expires: Thu, 07 Jun 2012 00:21:14 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 07 Jun 2012 00:21:14 GMT Connection: close 人口減少本格化 次世代支援にもっと知恵を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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人口減少本格化 次世代支援にもっと知恵を(6月7日付・読売社説)

 日本はいよいよ、本格的な人口減少時代に入った。史上例を見ない深刻な状況に、どのように対処し、活力を維持していくか。日本社会にとっての正念場であろう。

 厚生労働省が2011年の人口動態統計を公表した。昨年は、生まれた赤ちゃんが105万人で戦後最少となる一方、125万人が亡くなった。

 日本の人口の自然減が20万人を超えたのは初めてのことだ。減少規模は年々拡大する。甲府市、松江市といった中核都市が、毎年一つずつ消えていくに等しい。

 1人の女性が産む子の数に近い「合計特殊出生率」は前年と同じ1・39だった。05年以来、徐々に回復する傾向にあったが、頭打ちの感が強い。

 第1子出産時の母親の平均年齢が30・1歳と、初めて30歳を超えたことは、出産高齢化の進行を象徴している。婚姻件数は66万2000組で最少だった。非婚・晩婚の傾向も強まっている。

 無論、結婚するか否か、子どもを産むかどうかは、個人の自由だが、非婚、晩婚、出産先送りを選択せざるを得ない状況がある。

 若者の就職状況の厳しさ、年金をはじめとする社会保障制度への不安、共働きをしながら子どもを育てる環境の未整備――といった様々な懸念が、家庭を持つことをためらわせている。

 高齢者を重視した現行の社会保障制度の施策と財源を「全世代型」に改めることが急務であろう。

 政府・与党は、社会保障・税一体改革の一環として、「子ども・子育て新システム」という待機児童解消策を掲げるとともに、若者の雇用環境を改善する総合戦略の策定を打ち出している。

 細部では与野党間に相違もあるが、日本の将来を担う次世代を支援する政策に、財源と知恵をもっと振り向けるという方向性では一致している。人口動態の数字を見れば、一体改革の実現を急ぐ必要があるのは明らかだ。

 人口減が進む中で手をこまぬいていれば、労働力人口は不足し、社会の活力が衰えていく。

 そうした事態を避けるために、政府は重層的な活力維持策を講じていく責任がある。

 労働力人口を確保するには、女性が就業しやすい企業・社会環境を整えることが第一だ。

 意欲ある高齢者にも長く活躍してもらえるよう、働き方の多様化も進めるべきだ。外国人を積極的に受け入れることも、政治の検討課題である。

2012年6月7日01時13分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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