HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 07 Jun 2012 00:21:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:オウム事件 包み隠さず全てを語れ:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

オウム事件 包み隠さず全てを語れ

 地下鉄サリン事件で警察庁から特別手配されていたオウム真理教の元信者菊地直子容疑者が逮捕された。逃亡生活は十七年に及んだ。オウムの“闇”の解明に向けて知る限りの全てを語ってほしい。

 オウム事件で特別手配されたのは三人だった。元幹部平田信被告は昨年大みそかに警視庁に出頭し、公証役場事務長の逮捕監禁罪などですでに起訴されている。

 菊地容疑者が捕まり、残る元信者高橋克也容疑者の足取りが急浮上した。地下鉄サリン事件の実行犯を車で送る運転手役だったとされる。

 二人は六年くらい前まで川崎市内のアパートで一緒に暮らしていたことが判明した。高橋容疑者は昨年十二月までそこにとどまり、地元の建設会社に勤めていた。偽名口座から大金を下ろし、再び行方をくらましたとみられる。

 菊地容疑者は東京都町田市を経て相模原市内に移り住み、ヘルパー二級の資格を取って訪問介護の仕事に就いていた。自宅からは携帯電話七台が見つかった。逃亡の支援者はいたのか。

 教団は今でも「アレフ」と「ひかりの輪」に名称を変え、合わせて千五百人の信者を抱える。元代表の麻原彰晃死刑囚に帰依する傾向をうかがわせるとみて公安当局は警戒している。

 菊地容疑者はサリン製造を認めつつ「何を作っているのか知らなかった」という。地下鉄サリン事件は六千人を超す死傷者を出した比類のない集団テロだった。

 一連のオウム事件の裁判では十三人の死刑を含めて百八十九人の刑が確定した。だが、首謀者の麻原死刑囚は口をつぐみ、全てが明らかになったわけではない。真相に一歩でも迫る捜査を求めたい。

 驚かされたのは警視庁が公開した最近の二人の容貌だ。一九九五年の手配時の顔写真と見比べるとまるで別人だ。昔のイメージが世間に定着してしまい、かえって情報収集の妨げになっていなかったか。捜査技術上の課題だろう。

 菊地容疑者逮捕の決め手は周辺からの情報提供だった。ところが、以前に神奈川県警に通報したのに相手にされなかったという声も出ている。

 出頭した平田被告を警視庁の機動隊員がいたずらとみて門前払いにする失態もあった。警察官としての自覚をあらためて促したい。

 オウム事件を知らない若い世代が増えている。風化を防ぎ、社会全体でその意味を問い直す作業を続けていかなくてはならない。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo