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2012年6月7日(木)付

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一体改革、修正協議へ―次世代支援が最優先だ

社会保障と税の一体改革をめぐる修正協議がようやく始まる。自民党がきのう、民主党と協議に入ることを決めた。なんとか実らせてほしい。だが、その前に、な[記事全文]

一体改革、修正協議へ―自民の時代認識に疑問

一体改革法案の修正協議で、自民党は協力の見返りに、自分たちの政策を野田政権に丸のみさせようと鼻息が荒い。だが、その中身を見ると、時代の変化についていけているのか心配にな[記事全文]

一体改革、修正協議へ―次世代支援が最優先だ

 社会保障と税の一体改革をめぐる修正協議がようやく始まる。自民党がきのう、民主党と協議に入ることを決めた。

 なんとか実らせてほしい。

 だが、その前に、なぜいま一体改革なのか。原点に戻って考えてみよう。

 それは、減っていく現役世代が、増えていく高齢者を支え続けられるかどうか、その持続可能性が危ぶまれているからだ。

 だから改革の核心は、第一に高齢者も含めて幅広く負担を分かち合うこと。第二にこれからの世代に「支える力」をつけてもらうこと。

 前者が消費増税、後者が子育てや非正社員の若者らを対象とする次世代支援だ。

 たくましい次世代を育むことは、時間はかかるが、経済を根本から立て直す道でもある。

 これらの実現を、なにより優先すべきである。ほかの点は、大胆に妥協すればいい。

 民主党が譲るべきは、新年金制度の創設と、後期高齢者医療制度の廃止である。

 民主党の公約には、新年金制度について「全ての人が7万円以上の年金を受け取れるようにする」とある。だが、新制度への移行には40年以上の年月と、さらなる巨額の増税を要する。

 実現しても、公約で描いたバラ色のものとはほど遠い。「誇大広告」だったと認め、棚上げや撤回に応ずるべきだ。

 高齢者医療も、廃止後の新制度で、財政の責任を負わされることを警戒する都道府県の理解を得るめどが立たない。これでは現行制度を廃止できない。

 消費増税に加えて社会保障でも譲っては、公約総崩れでメンツが立たない――。民主党議員にはそんな戸惑いがある。だが公共事業から社会保障や教育に力点を移す「コンクリートから人へ」も、次世代支援を重視する方針も、民主党の公約だ。その実現にこだわればいい。

 自民党も、主張をごり押しするばかりではいけない。

 たとえば自民党は、民主党の社会保障政策を「バラマキだ」と批判しながら、自身は国土強靱(きょうじん)化基本法案を国会に提出している。道路や港湾の整備、建物の耐震化などに、まず3年で15兆円、1年あたり消費税換算で2%分を追加で投じる構想だ。

 人口減少時代に道路を張り巡らせても益は少なく、後々まで維持管理費がのしかかる。増税のかたわら公共事業を膨らませるのは、とてものめない。

 民主党の新年金制度と同じように、現実味の乏しい「誇大広告」と言わざるをえない。取り下げるべきだ。

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一体改革、修正協議へ―自民の時代認識に疑問

 一体改革法案の修正協議で、自民党は協力の見返りに、自分たちの政策を野田政権に丸のみさせようと鼻息が荒い。

 だが、その中身を見ると、時代の変化についていけているのか心配になる。自助・自立や家族の役割を強調する社会保障政策は、単なる「先祖返り」にしか見えないのだ。

 国会審議で自民党が示した「社会保障に関する基本的考え方」で、最初に来るのが、「額に汗して働き、税金や保険料などをまじめに納める人々が報われること」である。

 私たちも異論はない。だが、いま問われているのは「どこで汗して働くのか」である。

 グローバル化のなかで、安定した製造業の仕事は海外に流出している。一方、サービス産業などで、自民党政権の時代から増え続けたのは低賃金の非正規雇用だ。「税や保険料を納めようにも給料が少なすぎる」ところが問題ではないのか。

 自民党はまた、「家族による『自助』、自発的な意思に基づく『共助』を大事にする」ともうたっている。

 しかし、安定した仕事を持つ夫の収入で、家族全体の生活が保障される自助のモデルは崩れつつある。

 不安定雇用で収入が少なく、将来への展望が描けない若者にとっては、結婚して家族を持つことさえ難しい。家族がいれば助けは期待できるが、家族単位という前提自体が成り立たなくなっている。

 だからこそ、社会保険に代表される共助や税金による公助の機能を強化せざるをえない。自民党が言う「自発的な意思に基づく共助」が何を指すのか、具体策が見えない。

 少子化対策でも、自民党は政府の子育て支援法案に否定的だ。株式会社などの新規参入に警戒感が強く、「現行の幼稚園、保育所等の制度を基本」にするという。

 国会審議でも、既存の幼稚園や保育所に配慮して、今の枠組みでもっとカネを注ぎ込めという主張ばかりが目立つ。

 これまで少子化を克服できなかった反省に立って、家族や地域の変容に正面から向き合う謙虚な姿勢が必要だ。

 3年前、なぜ政権を失ったのか。民主党への失望感がこれだけ広がっても、自民党への期待が高まらないのはなぜか。

 民主党の施策を「バラマキ」と批判したいがために、家族重視の保守回帰にとどまるだけなら、自民党は時代認識に欠けた「野党ぼけ」のそしりを免れないだろう。

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