HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 06 Jun 2012 01:22:32 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 風薫る五月が足早に通り過ぎた。日々、盛り上がるような木々…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 風薫る五月が足早に通り過ぎた。日々、盛り上がるような木々の緑は濃さを増し、気付くと、アジサイが梅雨を待てないように大きく育っている。この季節、地味ながら、美しい姿を見せているのはドクダミである▼独特のにおいはあっても、清楚(せいそ)なたたずまいには趣がある。白い花びらに見えるのは葉が変化した苞(ほう)だ。<毒だみや十文字白き夕まぐれ>石橋秀野。暗がりでひっそり見える白さには、どきりとさせられる▼「十薬」と称されるように万病に向く薬草として知られてきた。江戸時代に儒学者の貝原益軒が編纂(へんさん)した「大和本草」にも「わが国の馬医これを馬に用いると、十種の薬の効能があるので十薬と言う」との記載がある▼葉などをすりつぶした汁は、切り傷や皮膚病などに効く。煎じた汁を飲むと、高血圧や便秘などの症状をやわらげるという。あの強烈なにおいをかぐと、いかにも効きそうな気がしてくる▼引っこ抜いても、根が残っていると再び一面に繁殖する。駆除するにも手に余る生命力が薬効の源なのだろう。日本のものより味も香りも穏やからしいが、ベトナムではドクダミの葉を生春巻きや麺料理に他の香草と一緒に入れるという▼沖縄、九州に続き本州も梅雨入りが近づいてきた。雨にぬれると、ドクダミの花は、どこかなまめかしい。足元のありふれた草花に目を凝らす楽しみもある。

 

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