HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 04 Jun 2012 21:21:09 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:中国の海洋進出 大国らしい自制求める:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

中国の海洋進出 大国らしい自制求める

 海洋権益の拡大をめざす中国と周辺国の摩擦が目立つ。太平洋の安全や資源を守るための島サミットには、米国が初参加した。中国のけん制が狙いだ。中国には大国らしい自制と寛容を求めたい。

 「中国側の核心的利益や重大な関心事項を尊重すべきだ」。先月中旬の北京での野田佳彦首相との会談で、温家宝首相が、こう発言した。この「核心的利益」がウイグル問題ではなく、尖閣問題を指すのではないかと波紋が広がった。

 核心的利益とは中国共産党が絶対に譲歩できず、武力行使も辞さない問題を言う。中国が分離独立運動を警戒する、台湾やチベット、新疆ウイグル両自治区などの問題が、対象といわれる。

 別の共産党幹部は先月下旬、日本の政治家との会談で、尖閣問題を「核心的な関心事」と言ったという。微妙な言い方が続くが、党中央が尖閣問題を核心的利益に加えたとみるのは早計だろう。

 だが、そうした微妙な表現に、中国の強硬姿勢が感じられる。東京都の石原慎太郎知事が、都による尖閣諸島購入の方針を表明したことも影響しているだろう。

 南シナ海のスカボロー礁では中比のにらみあいが続く。もしも、中国が尖閣問題で居丈高に「核心的利益」のカードをちらつかせるなら、波風はさらに強まる。

 最高指導部が交代する秋の党大会を前に、軍の発言力が高まっているという。もちろん外交は内政の延長ではあるが、過去の中国の指導者が知恵を働かせた平和台頭路線を守ってほしい。

 領有権をめぐるお互いの主張には謙虚に耳を傾け、平和的な解決の道を探るのが第一だ。どの国もその原則は厳守すべきだ。そのうえで、中国には大国らしい抑制的なふるまいを求めたい。

 十七の国と地域が参加した「太平洋・島サミット」が開かれ、「沖縄キズナ宣言」に国連海洋法条約の重要性が盛り込まれた。名指しは避けたが、中国けん制では足並みがそろった。

 アジア太平洋重視の姿勢を鮮明にした米国も初参加し、日本は正式メンバーになるよう提案した。太平洋を平和の海として守るため、米国の参加は心強い。

 日本の呼びかけで、六回の実績を積んできたサミットだ。対中戦略だけでなく、太平洋の友人と絆を深める舞台に育ててほしい。覇権争いの海にせぬよう注意しながら、津波など災害対策にきめ細かく目を配った支援をしたい。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo