HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 36367 Content-Type: text/html ETag: "68fb37-22ac-a92fef00" Cache-Control: max-age=4 Expires: Mon, 04 Jun 2012 21:21:14 GMT Date: Mon, 04 Jun 2012 21:21:10 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年6月5日(火)付

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 正岡子規にユーモラスな一句がある。〈涼しさや人さまざまの不恰好(ぶかっこう)〉。冷房などなかった明治の夏の様子だが、縁台や路地で、かなり楽な格好で涼む老若男女が目に浮かぶ。ふんどし一丁、腰巻き一枚といった「雄姿」にも市民権はあっただろう▼「六月無礼」という言葉は、暑さのきびしい時期には服装が多少乱れても大目に見てもらえることを言う。古く平家物語にも出てくるそうだ。この六月は旧暦だが、新暦6月の衣替えに合わせたクールビズの語が生まれて、はや8年になる▼最初の年は、とにかくネクタイを外した。「朝帰り」などと冷評されつつ、何とか板についてきて、去年はより切実な節電のためのスーパークールビズになった。そして今年はさらに進化しているという▼さすがに短パンで職場には――と尻込みする向きにも、七分丈のパンツが好評らしい。素材も、肌触りの涼しい「接触冷感」や汗対策の効いた「吸水速乾」などと増え、選ぶ幅はずっと広がってきた▼高温多湿の日本の夏に、洋服の仕事着は古くて新しい課題のようだ。昭和初めの本社刊『明治大正史』は、夏場の大汗に「日本が北緯40度以上の大陸国であったなら」と記し、「我々の仕事着はまだ完成していない」と書いている。平成の今も、模索は継続中だ▼職場職場で「六月無礼」の幅を、無理なく、されど広く取りたいものだ。多少ラフで不格好でも、歩く人が多くなれば道はできる。味わい深い古言を、死語にするのはもったいない。

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