HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 47730 Content-Type: text/html ETag: "b64701-368f-66b5ae80" Cache-Control: max-age=1 Expires: Sat, 02 Jun 2012 22:21:03 GMT Date: Sat, 02 Jun 2012 22:21:02 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
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2012年6月3日(日)付

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生活保護―たたくだけでは無責任

人気お笑い芸人の母親が、生活保護を受けていたことをきっかけに、大量の報道がテレビや週刊誌にあふれている。息子が高収入なのに、その親が困窮して保護費を受け取ることが、道義[記事全文]

円と人民元―アジアの金融安定へ

円と中国の人民元を直接取引する市場が、東京と上海でスタートした。これまでは大半が米ドルを介した間接取引だった。それに比べ為替手数料が節約できたり、ドルの乱高下の影響を抑[記事全文]

生活保護―たたくだけでは無責任

 人気お笑い芸人の母親が、生活保護を受けていたことをきっかけに、大量の報道がテレビや週刊誌にあふれている。

 息子が高収入なのに、その親が困窮して保護費を受け取ることが、道義的な責任を問われるのはやむをえまい。

 だが、「親族の扶養義務をもっと厳しく履行させよ」と行政を批判するだけでは、本質的な改善は望めない。

 生活保護の行政は、世間の厳しい目と、「最後のセーフティーネット」を運用する重責にはさまれ、困難さを増している。要員不足や弱体化を直視し、強化策を探るべきだ。

 生活保護は、自治体の福祉事務所が担当する。ケースワーカーが本人の収入や資産、親族による扶養可能性などを調査したうえで受給資格を判断する。

 ただし、明らかに扶養できそうな親族がいても、「できません」と断られたら、それ以上の調査はできない。

 そこで厚生労働省は、扶養義務者に「できない」理由を説明させることを検討する。家庭裁判所の調停や審判によって扶養料の支払いを求める方法も、使いやすくする意向だ。

 しかし、行政の権限を強化しても、機械的な運用はできないし、やるべきでもない。

 困窮している人は、すでに親族とのあつれきを抱えている場合が多い。扶養義務のある息子が日頃から母親との仲の良さを公言していた今回は、珍しい例と考えるべきだ。

 扶養を求められた親族との関係が悪化する可能性も高いだろう。そのために、困窮した人が保護申請をためらう副作用も予想される。申請を無理に門前払いする「水際作戦」が、餓死や孤独死を生んできたことを忘れてはならない。

 核家族化など血縁関係が薄まるなかで、どこまで身内に頼れるのか。一律の基準はなく、これまでの交際など様々な事情を考慮して慎重に判断する必要がある。ケースワーカーに経験と熱意が必要であるゆえんだ。

 だが実際は、肉体的・心理的な負担から公務員の間で希望者は少なく、若手がいきなり配置されることも多い。しかも受給者の急増で、1人あたり平均96世帯も担当する(09年度)。

 不適切な受給をさせず、かといって本当に困っている人を見逃さず、受給者の自立も支援する――。現場への要求を膨らませるばかりでは無責任だ。

 貧困層が増えるなか、ケースワーカーが置かれている状況を改善しない限り、適切な保護行政など望むべくもない。

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円と人民元―アジアの金融安定へ

 円と中国の人民元を直接取引する市場が、東京と上海でスタートした。

 これまでは大半が米ドルを介した間接取引だった。それに比べ為替手数料が節約できたり、ドルの乱高下の影響を抑えられたりする効果が期待できる。

 これを機に、中国の金融自由化を促しつつ、双方のメリットを広げ、アジア全体の金融安定にもつなげたい。

 中国は日本にとって最大の貿易相手国で、日本は中国にとって米国に次ぐ。通貨の直接取引は、2万社を超す中国の日系企業はもちろん、広く両国の企業や旅行者らにプラスとなる。日本での元建ての金融商品・サービスも広がりそうだ。

 市場創設は、昨年12月の日中首脳会談で合意していた。早期に実現した背景には、元の国際化に向けた中国側の積極姿勢がある。

 08年のリーマン・ショックでドルの信認は大きく揺らいだ。これに懸念を強めたのが、巨額のドルを外貨準備として抱える中国である。外国に対して、貿易の支払いや外貨準備に元を採用するよう求める一方、元建て証券への海外からの投資枠の拡大などを進めてきた。

 さらに欧州危機でユーロの価値も下落したことから、円とのパイプの強化にも踏み出した。主要通貨ではドルに続く2番目の直接取引となる。

 ドル以外の独自通貨圏を警戒する米国も元の国際化を前向きに評価する。中国政府の統制が弱まり、元が対ドル相場で上昇し、対中貿易赤字の是正につながるとみられるからだ。

 しかも、元の国際化は中国内に残る厳しい金融規制を緩める圧力となる。緩和が進めば、外国からの証券投資などに伴う為替取引の自由化や元の変動相場への移行も視野に入ってくると、米国はにらんでいる。

 日本としては、香港やシンガポール市場との競争のなか、東京市場の活性化のため、元の取引をできるだけ引き込む必要がある。それは日本企業の資金調達にとって追い風になる。

 同時に、円の地位を守り、元の信用力が高まることは国際的な危機対応にも貢献しうる。

 先に日中韓と東南アジア諸国連合は、金融危機の際、各国が保有するドルを融通する安全網(チェンマイ・イニシアチブ)の融資枠を倍増することで合意した。これに、円や元という域内の主要国通貨も活用できれば効果は大きい。

 アジアの金融安定に資するうえでも、日中の通貨連携をきちんと育てたい。

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