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2012年6月1日(金)付

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虐殺のシリア―市民の命のために動け

シリアで、軍の砲撃などで一つの村で一晩に市民100人以上が殺された。政府による市民の虐殺であり、国際社会の早急な対応が必要だ。国連停戦監視団が現地で確認した。国連安全保[記事全文]

インサイダー―プロの不正に厳罰を

上場企業の公募増資をめぐって、大手の信託銀行や証券会社が絡むインサイダー取引が、また明るみに出た。「プロ中のプロ」による不正が常態化していたことをうかがわせる。当局は厳[記事全文]

虐殺のシリア―市民の命のために動け

 シリアで、軍の砲撃などで一つの村で一晩に市民100人以上が殺された。政府による市民の虐殺であり、国際社会の早急な対応が必要だ。

 国連停戦監視団が現地で確認した。国連安全保障理事会は、「住宅地への砲撃」を非難する声明を全会一致で採択した。

 昨春、「アラブの春」と呼ばれる民主化デモが中東で始まって以来、シリアでは軍の武力行使などによる市民の死者は1万人にのぼる。今回のケースは氷山の一角である。

 同じように民衆が立ち上がったチュニジアやエジプトではすでに議会選挙を終え、苦しみながらも民主化の道をたどっている。それにくらべ、シリアの悲惨さは目をおおう。

 シリアの複雑な宗教問題や周辺国との関係を考えれば、国際社会が内戦や体制崩壊を恐れ、慎重にならざるを得ないことは理解できる。

 それにしても、外交圧力も制裁もこのままでは生ぬるい。

 シリア政府は虐殺への関与を否定し、「武装したテロリスト集団の仕業」とする。国連監視団は、犠牲者の多くは政府寄りの武装民兵に銃や刃物で虐殺された可能性を指摘する。

 インターネットの動画投稿サイトで子どもたちの小さな遺体が並ぶ映像には、言葉を失う。

 虐殺を受けて、米欧各国は即座にシリア人大使や外交官に退去を求めた。日本の外務省は最初は非難声明だけで、数日遅れて退去を求めた。こんな甘い姿勢では人権感覚が疑われる。

 軍は市民の命を軽視し、武装民兵が野放しでは、人道危機は深まるばかりだ。

 今年2月にシリアでの暴力停止を求める国連安保理の決議案が、ロシアと中国の拒否権で否決された。これが、歯止めのきかない市民の犠牲を招いたことは明らかである。

 その後、4月にロ中両国の支持も得て、元国連事務総長のアナン氏の調停によって停戦監視団が派遣された。しかし、本当の停戦が実現する見通しさえ、極めて暗い。

 シリア問題で安保理は「民間人保護」の原則に立ち返って、改めてロシア、中国を説得し、政権に暴力停止を義務づけるような実効性のある決議を採択するために動くべきだ。

 武装民兵が暗躍する現状で、非武装の停戦監視団では市民を守ることはできない。

 安保理は、市民保護と人道援助活動の安全確保のために平和維持軍の派遣も視野に入れ、アサド政権が自国民の命を守るように圧力をかけるべきである。

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インサイダー―プロの不正に厳罰を

 上場企業の公募増資をめぐって、大手の信託銀行や証券会社が絡むインサイダー取引が、また明るみに出た。

 「プロ中のプロ」による不正が常態化していたことをうかがわせる。当局は厳しく調査し、罰則も強化すべきだ。

 証券取引等監視委員会によると、旧中央三井アセット信託銀行(現三井住友信託銀行)のファンド運用担当者は一昨年6月、みずほフィナンシャルグループの公募増資の情報を野村証券から発表前に入手し、株を売却。発表後の株価下落による損失約2千万円を回避した。監視委は旧中央三井に課徴金を払わせるよう金融庁に勧告した。

 旧中央三井は今年3月にも、エネルギー会社の公募増資に絡むインサイダー取引で課徴金処分を受けた。情報元はやはり野村とされたが、野村は情報管理に落ち度はなかったと反論してきた。

 しかし、みずほの件では増資の引き受け部門から、機関投資家を回る営業部門に情報が漏れたことを示す文書や社内メールなどの証拠があるという。

 現行法では情報提供者はインサイダー取引の処分対象にならないが、ずさんな情報管理は金融商品取引法違反に当たる。監視委と金融庁は、厳正に処分すべきだ。

 野村は08年に企業買収などを助言する部門の社員がインサイダー事件を起こし、情報管理の自主規制を強化した。それが、現場では空洞化していたことになる。経営陣の責任は重い。

 今回、ヘッジファンドのあすかアセットマネジメントも、日本板硝子の公募増資の情報を米系のJPモルガン証券から得てインサイダー取引を行ったとして、処分された。

 日本企業の公募増資に絡むインサイダー疑惑は以前から指摘されてきた。不審な取引の多くは香港やシンガポールなどアジア市場でヘッジファンドが行っており、外資証券の介在も疑われる。監視委と金融庁はアジア諸国の当局と連携して、全容を解明してほしい。

 一連の事件で浮き彫りになったのは、罰則が極めて軽いことだ。旧中央三井などへの課徴金はわずか5万〜13万円。不正な取引によるファンドの利益ではなく、運用会社に入る手数料に科せられるからだ。

 これではプロの不正を抑止する効果はゼロに等しい。ファンドの受益者にも負担させ、公正な運用者を厳選する動機付けにすべきだ。インサイダー情報の提供に対する厳罰化とあわせ、対応を急ぐ必要がある。

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